タワウ

タワウ (Tawau) について

タワウは、マレーシアのサバ州に位置する都市であり、コタキナバル、サンダカンに次いで、サバ州で3番目に大きい都市として知られています。この都市は、歴史と多様な文化が融合した場所であり、その発展の過程は興味深いものです。

地理

タワウはサバ州の南東部に位置しており、豊かな自然に囲まれています。この地域は、熱帯雨林や海岸線が広がり、多様な生態系を育んでいます。その地理的特性から、農業や漁業が盛んで、地域経済の重要な柱となっています。

歴史

タワウの歴史は、19世紀末にまで遡ります。1890年代には、ボルネオ周辺の島々から約200人が移住し、タワウラマ村に定住しました。彼らは漁業や稲作を中心とした生活を営み、オランダとの貿易を通じて経済的な基盤を築きました。この頃のタワウは、まだ小さな集落でしたが、その後の発展の基礎が築かれた時期と言えます。

戦前の日本企業の進出

20世紀に入ると、タワウには日本企業が進出し、経済的な変革が起こりました。1916年2月には、久原財閥のグループ会社である久原鉱業所が、北ボルネオ政府から原生林を租借し、久原農園（Kuhara Estate）の経営を開始しました。この農園では、ゴム、ココナッツ、コプラなどが栽培され、地域経済に大きな影響を与えました。1928年3月には、久原鉱業所は日本産業株式会社の子会社となり、その後、1934年3月にタワウ農園事業が分離され、日本産業護謨株式会社となりました。さらに、1939年8月には日産農林工業株式会社に社名が変更されました。

しかし、第二次世界大戦が勃発すると、タワウの状況は一変しました。1945年、日本の敗戦に伴い、農園の資産は没収され、日本人は強制的に帰国させられました。この出来事は、タワウの歴史において大きな転換点となりました。戦後のタワウは、再びマレーシアの一部として歩み始めました。

現在のタワウ

戦後、タワウは再び発展を遂げ、現在ではサバ州を代表する都市の一つとなりました。市内の幹線道路には「久原通り（Jalan Kuhara）」という名称が残っており、戦前の日本企業の進出の歴史を今に伝えています。また、日産農林工業株式会社は、2021年現在では兼松サステックとして存続しており、歴史的な繋がりを維持しています。

交通

タワウは交通の要所としても機能しています。市内にはタワウ空港があり、国内外へのアクセスが可能です。また、バス路線網も整備されており、周辺地域への移動も比較的容易です。港湾施設も存在し、海上輸送も行われています。道路網も整備されており、自家用車での移動も便利です。

姉妹都市

タワウは、中国の漳平市と姉妹都市提携を結んでおり、国際的な交流も活発に行われています。

外部リンク

Tawau information
兼松サステック沿革

参考文献

* 『東マレイシア概説 -サバ・サラワク・ラブアン -』　上東輝夫著 平成11年(1999) P.137-P.138

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