タンス預金

タンス預金とは

タンス預金とは、銀行などの金融機関に預けず、自宅で保管する現金のことを指す俗語です。その名の通り、かつてはタンスに隠されることが多かったためこの名前がありますが、実際には金庫や貯金箱など、タンス以外の場所に保管されることもあります。欧米では、マットレスの下が典型的な貯蔵場所として知られています。

タンス預金の概要

タンス預金は、金融機関の預金とは異なり、資金の移動記録が残らないため、資金洗浄や脱税の手段として使われることがあります。また、富裕層の中には、税務署などからの詮索を避けるために、意図せずタンス預金を選択する人もいます。

しかし、タンス預金は金融機関に預けられないため、金利が付かず、長期間になると現金の死蔵化につながります。また、国全体でタンス預金が増えれば、金融機関の預金額が減少し、融資の鈍化など、経済成長に悪影響を与える可能性もあります。そのため、タンス預金の増加は、金融システム上の問題として度々取り上げられています。

日本[[銀行]]の調査によると、2016年時点で約78兆円、2020年12月末には初めて100兆円を突破したと推定されています。第一生命経済研究所の推計では、2017年2月末時点で約43兆円とされています。これらの推計額からも、タンス預金が相当な規模に達していることが伺えます。

タンス預金のメリット・デメリット

タンス預金の最大のメリットは、現金であるため、デフレーションに強く、流動性が高いことです。また、マイナス金利や金融機関の破綻の影響を受けないという点も魅力です。そのため、金融システムに対する不安がタンス預金の動機になることもあります。

一方で、タンス預金には多くのリスクが伴います。盗難や火災による喪失、害虫による食害や錆びつきなどの破損といった物理的なリスクや、横領のリスクも存在します。また、利子が付かないため、インフレの影響をより大きく受けるというインフレリスクもあります。

さらに、通貨切替によって旧通貨が無効になった場合、タンス預金は無価値になってしまいます。過去には、北朝鮮やインドで、自国通貨のデノミネーションや高額紙幣の廃止が突然行われ、タンス預金が無価値化した事例も存在します。新紙幣の発行は、旧紙幣が使えなくなるわけではないため、タンス預金を炙り出す効果はありません。

へそくりとの違い

「へそくり」とは、同居している家族に隠れて個人的に管理するお金のことです。古くは家族公認の個人資産を指しましたが、現在では「他の同居家族に隠して貯めたもの」という意味合いで使われます。へそくりの隠し場所として、タンスの中など家庭内が選ばれることも多いため、へそくりはタンス預金の一種と捉えることもできます。

しかし、「タンス預金」は金融機関預金と対比した語であるのに対し、「へそくり」は家族共有の財産と対比した語であり、意味が異なります。

暗号通貨とタンス預金

暗号通貨は、「ウォレット」と呼ばれるコンピュータアプリケーションで保管されます。自宅の端末のウォレットに暗号通貨を保管することも、タンス預金の一種と考えることができます。

まとめ

タンス預金は、手軽に現金を保管できる一方で、さまざまなリスクを伴います。金融機関に預けることのメリット・デメリットを十分に理解し、自身に合った方法で資産を管理することが重要です。

参考文献

日本[[銀行]]調査統計局.
第一生命経済研究所.

関連項目

現金
キャッシュレス社会
新円切替
預金封鎖
取り付け騒ぎ
地下経済
* 地下[[銀行]]

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