ターボファイル

ファミコンのゲームデータを手軽に保存！ターボファイルシリーズの軌跡

1986年、アスキーから発売されたターボファイルは、ファミリーコンピュータ（ファミコン）のゲームデータを外部に保存するための画期的な周辺機器でした。それまで、ファミコンのデータ保存はファミリーベーシックに接続するデータレコーダのみに限られていたため、ターボファイルの登場はゲームデータの扱いを大きく変えました。

ターボファイルの誕生

初代ターボファイルは64KibitのSRAMを内蔵し、ゲームデータの高速な読み書きを実現しました。アスキーの「キャッスルエクセレント」をはじめとする多くのゲームに対応し、ウィザードリィシリーズではキャラクターの転送に活用されました。また、ROMカセットのバッテリーバックアップのデータ消失を防ぐ目的でも利用されるなど、当時のゲーマーにとって重要なアイテムでした。

ただし、ターボファイルは乾電池を電源としており、電池切れの際にはデータが消えてしまうという欠点がありました。内蔵コンデンサによるバックアップ機能も短時間しか持続しませんでした。サイズは72x72x39mmでした。

ターボファイルII

1989年、ターボファイルIIが登場しました。これは初代の4倍の容量を持ち、バンク切り替え機能により複数のゲームデータを保存できるようになりました。これにより、例えば「ベストプレープロ野球」で複数のリーグ戦を同時進行することが可能になりました。また、拡張ポートに専用のデータROMカセットを接続することで、ゲームデータの更新も可能でした。サイズは98x95x41mmと若干大きくなりました。

ターボファイルアダプター

1992年には、スーパーファミコン（スーファミ）に対応するためのターボファイルアダプターが発売されました。これにより、ファミコン用ターボファイルやターボファイルIIをスーファミで使用できるようになり、「ウィザードリィV」ではファミコン版のキャラクターデータをスーファミ版に転送することができました。しかし、このデータ移行を実現したのはこの1作のみでした。

ターボファイルツイン

1994年にはスーファミ専用のターボファイルツインが登場しました。これはスーパーターボファイル（STF）モードと従来のターボファイル（TF）モードを搭載しており、対応ソフトに合わせて使い分けることができました。STFモードでは、ダービースタリオンの牧場データと対戦用馬データを別々に保存するなど、より柔軟なデータ管理が可能になりました。TFモードでは、ターボファイルIIと同様に4つのバンクを切り替えることができましたが、ファミコンには接続できませんでした。

ゲームボーイ版とアドバンス版

2000年には、ゲームボーイおよびゲームボーイカラーに対応したターボファイルGBが発売されました。フラッシュメモリを採用し、電池は動作に必要なだけとなりました。「RPGツクールGB」では、このターボファイルがないと自作のゲームを他のユーザーに遊んでもらうことができませんでした。2002年にはゲームボーイアドバンスに対応したターボファイルアドバンスが発売されましたが、これらはハードウェアとしては同一のもので、ターボファイルGBでもGBAのタイトルで使用できました。

ターボファイルシリーズの対応ソフト

ターボファイルシリーズは、アスキーのゲームを中心に多くのゲームに対応しました。以下に主な対応ソフトを列挙します。

キャッスルエクセレント
覇邪の封印
ウィザードリィシリーズ (I, II, III, V)
ベストプレープロ野球シリーズ
フリートコマンダー
忍者らホイ! 痛快うんがちょこ忍法伝!!
いただきストリート 私のお店によってって
ダービースタリオンシリーズ
ダウンタウン熱血物語
ダンジョンキッド
ザ・マネーゲームII 兜町の奇跡
タクティクスオウガ
* RPGツクールシリーズ

その他

ターボファイルの商標権はアスキーがCSK・セガ傘下に在った時期にセガへ譲渡され、その後、セガと経営統合したサミーが、アスキーの周辺機器事業を引き継ぎ「ターボファイル」の名称の外部記憶装置を発売する事になりました。このためターボファイルアドバンスは、発売元がサミーとなっています。

ターボファイルは、ファミコンからゲームボーイアドバンスまでの長きにわたり、ゲームデータの保存を支え続けた重要な周辺機器でした。その登場はゲームデータの扱いを大きく変え、後のゲーム機におけるデータ保存のあり方にも大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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