ベストプレープロ野球

ベストプレープロ野球シリーズ

『ベストプレープロ野球』(Bestplay Baseball)は、1988年にアスキーから発売された野球シミュレーションゲームです。『ダービースタリオン』シリーズを手掛けた薗部博之氏が制作しました。本稿では、前身となる「ベストナインプロ野球」（2作品）やPC用ソフト「ベストプレーベースボール」についても解説します。

概要

本作の最大の特徴は、選手名や能力を自由にエディットできる点です。実在の球団を再現するだけでなく、オリジナルのチームを作成することも可能です。Windows版では、日程や球場までエディットできます（球場エディットにはフリーソフトが必要）。

プレイヤーは監督としてペナントレースを戦い、リーグ優勝を目指します。試合中は、代打や継投の指示、盗塁の指示、守備シフトなど、様々なサインを出します。全チームの采配をコンピュータに任せることも可能です。プレイヤー以外の球団はコンピュータが担当し、シリーズが進むにつれて監督の性格（打順の組み替え頻度、投手交代のタイミングなど）を設定できるようになりました。また、先発投手のローテーションの概念も導入されています。

当初は牽制球の概念がありませんでしたが、PS2版「新ベストプレープロ野球」で初めて導入されました。ファミリーコンピュータ版時代は『ファミコン通信』、PC版時代は『ログイン』誌上で、毎年春に特集記事が組まれ、その年のペナントレースを予想する選手データが発表されていました。

薗部氏は開発当時、リストラを待つばかりの状況で、会社では相手にされていなかったと語っています。限られた時間の中で開発機を借り、ほとんど一人で開発を進めていたのが実情です。

シリーズ作品

ベストナインプロ野球

1985年にアスキーからPC・FM-7用ソフトとして発売され、後にPC-9801にも移植されました（PC-9801版のみ選手表記が漢字）。セントラル・リーグの6球団が再現されています。延長戦はなく、9回裏終了時に同点の場合は引き分けとなります。

新ベストナインプロ野球

同じく1985年発売。パシフィック・リーグのデータを追加しています。PC-8801やMSX2にも移植され、1986・1987年版のデータを収録した追加ディスクも発売されました。

ベストプレープロ野球（ファミコン）

1988年7月15日にアスキーからファミリーコンピュータ用ソフトとして発売されました。この年は多くの野球ゲームが発売されましたが、本作は戦略性やペナントレースの再現、自由度の高いチームエディットなどが特徴でした。初回出荷が少なく品薄が続いたため、1988年夏時点のデータを反映した『ベストプレープロ野球 新データ』が10月11日に発売されました。

「ベストナイン」からの変更点として、延長戦（12回まで）が導入されました。

試合中のBGMは、実際のプロ野球で使用されている応援歌が使用されています。

ベストプレープロ野球II

1990年3月30日発売。コンピュータが担当する監督の思考ルーチンが設定可能になり、球場が人工芝・天然芝の2種類から選択可能になりました。人工芝は長いペナントレースで野手のスタミナが減りやすく、天然芝はエラーが出やすい仕様です。

コンピュータ同士の対戦を早送りするスキップモードが導入され、ペナントレース終了までのスピードが大幅に向上しました。また、能力値「S」が全てのパラメータで設定可能になり、投手のスタミナというパラメータが新たに導入されました。

ベストプレープロ野球'90

1990年12月13日発売。IIの改良版で、選手が実名になりました。延長戦が18回まで設定可能になり、セ・リーグとパ・リーグの任意のチームを選んで日本シリーズができます。

ベストプレープロ野球スペシャル

1992年10月16日発売。2リーグ同時進行が可能になり、ターボファイル無しで日本シリーズができるようになりました。また、本拠地にドーム球場が追加されました。スーパーファミコン版も開発されていましたが、「ダービースタリオン」の製作が優先されたため発売中止となりました。

ベストプレーベースボール

1991年にPC-9801で発売。2リーグ同時進行が初めて採用され、スキップモードも6試合同時に早送りするなど、進行が非常に速くなりました。球場も当時の12球団が本拠地にしていた実在の11球場が再現されました。試合開始前、五回終了時、試合終了時には、プロ野球中継さながらに、実在企業のロゴを使用した提供クレジットが挿入されました。

ベストプレープロ野球（Windows）

1999年3月12日発売。ネット対戦モードが導入され、スキップモードでは6試合同時に縮小画面で観戦が可能になるなど、インターフェースが大幅に改良されました。外部からテキストデータを読み込むことで様々なエディットが容易になり、日程や球場まで自作が可能になりました。

ベストプレープロ野球'00

2000年10月20日発売。ネット対戦モードがペナントレースに対応したほか、既に終了した試合をいつでもリプレイできるなどの改良がありました。しかし、発売元がPCソフト事業から撤退したため、出荷本数が少なく、現在は入手困難となっています。

ベストプレープロ野球（ゲームボーイアドバンス）

2002年10月25日にエンターブレインから発売。10年ものブランクを経て発売された、携帯機向けの作品です。機能の豊富さやエディットの自由度は損なわれておらず、選手名が漢字で入力可能など、本格的な内容となっています。球場は、札幌ドームを含む12球場と地方球場の計13種類。日程では初めて2リーグ交流戦が設定可能になりました。

新ベストプレープロ野球

2003年9月25日にエンターブレインから発売された、現時点での最新作。機種はプレイステーション2。視点が球場全体の俯瞰図からテレビ中継的な3D視点に変わり、牽制球や投手の打撃能力設定で「左投げ右打ち」が再現されるなど、戦略面も大幅に変化しました。ストライクゾーンや打球の反発力も設定可能です。

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