ターミナルケア

ターミナルケアとは

ターミナルケア（終末期医療）は、人生の最終段階において行われる医療および看護の形態を指します。この時期は、患者が老衰や病気、障害の進行により、もはや医学的な治療や延命が難しくなり、余命が約3～6ヶ月と予測されることが特徴です。具体的には、ガンや認知症、ALS、パーキンソン病など、様々な病状によって特徴付けられることが多いです。

終末期の明確な定義

現状、終末期についての統一された定義は存在せず、公的機関や学会によってもその解釈は異なります。そのため、今回の説明でも、一般的に受け入れられている概念を元に話を進めていきます。主に、生存の可能性がほぼ無く、医療的な手当てを施すことが空しいと判断される段階を指しています。突発的な事故や急性病においては、予想される余命の範囲には入らず、終末期とは表現されないのが一般的です。

ターミナルケアの目的

ターミナルケアの主な目的は、終末期の患者が体験する身体的および精神的な苦痛を軽減し、クオリティ・オブ・ライフ（QOL）を向上させることです。医学的介入が限られる中で、痛みの緩和や不安の軽減を図るための、緩和医療が中心となります。その際、患者の個々の希望や心情に配慮し、適切な医療的措置が行われることが求められます。

厚生労働省は、「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」を策定しており、患者の意向が尊重されるような医療の方針が取られています。特に、地域包括ケア病棟を持つ医療機関においては、看取りに関する指針を定め、患者のQOL維持を目指しています。

ケアの場と方法

ターミナルケアは、さまざまな施設で行われます。これには終末期専用の緩和ケア病床、慢性期の療養病床、さらに老人介護施設や障害者介護施設が含まれます。また、ホスピスという専門的な医療施設も存在し、ここではターミナルケアに特化した支援が提供されます。患者やその家族が自宅での生活を望む場合、訪問医療や訪問看護を通じて在宅でのケアが選べます。

日本の医療制度において、健康保険や介護保険が適用される施設では、資金面の負担が軽減される仕組みが整っています。

リテラシーの向上

一般の方々に対して終末期医療に関する情報を提供し、認識を高めることは、誤解やスティグマの軽減に寄与します。OECDによる調査では、各国で緩和ケアの情報提供プログラムがあることが示唆されており、日本もまたこの取り組みが進められています。特に、リビング・ウイルやDNARといったテーマについての理解も徐々に深まっています。

日本におけるターミナルケアの歴史

2007年、厚生労働省は初版のガイドラインを策定し、ターミナルケアに関する公的な話題が広がりました。2012年には、社会保障制度改革推進法において、患者の意思や尊厳を重視した見直しが行われ、終末期のケア環境が充実することを目的とした指針が示されました。

最近では2018年にガイドラインが改訂され、医療・ケアチームとしてのアプローチが強調されるようになり、患者とその家族の意思疎通が重要視されています。特に「人生会議」などの名称で親しまれる、アドバンス・ケア・プランニングの普及も進んでいます。

研究と未来の展望

臨床研究では、ターミナルケアにおいて一般医療従事者の関与が医療費削減につながることが示されており、今後の医療政策にも影響を与える可能性が高いです。

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