ダンボールワン

株式会社ダンボールワン

株式会社ダンボールワンは、1978年に能登紙器株式会社として石川県七尾市で創業した日本の企業です。主に段ボールや梱包資材の製造・販売、特にインターネット通販サイト「ダンボールワン」の運営を主たる事業としていました。独自のサービスとビジネスモデルで成長を遂げましたが、2022年に株式会社ラクスルの完全子会社となった後、2023年8月1日付でラクスルに吸収合併され、企業体としてはその歴史に幕を下ろしました。ただし、「ダンボールワン」のECサイト事業は、ラクスルの一部門として現在も運営が継続されています。

沿革と事業展開

能登紙器として出発した同社は、設立当初、石川県能登地方で唯一の段ボールメーカーとして地域に根差した事業を展開していました。2011年には、事業内容をより反映する株式会社ダンボール・ワンへと社名を変更しました。同社の大きな転換点となったのは、2005年に開始したインターネット通販事業です。

EC事業の確立

ECサイト立ち上げ当初は、少ない従業員と限られたIT環境の中で手探りの状態でした。当時入社した辻俊宏氏（後の代表取締役）主導でIT化とECサイト開設が進められましたが、当初は注文もほとんどない状況でした。しかし、1箱のみという珍しい注文に迅速に対応した経験から、「少量でも、納期優先で対応する」という方針を確立。これは、大量受注生産が一般的だった段ボール業界において画期的なものでした。さらに、顧客がサイズに強くこだわらないケースが多いことに着目し、売れ筋サイズの段ボールを安価に提供する戦略を採用。自動見積もりシステムの導入により、注文処理の効率を大幅に向上させ、事業を軌道に乗せました。

サービスの特徴と市場評価

同社は、段ボールだけでなく、プチプチなどの緩衝材、梱包テープ、クッション封筒といった多様な梱包資材を取り扱い、これらの商品を在庫して迅速な当日出荷に対応しました。

顧客の多様なニーズに応えるため、1mm単位でのサイズ指定や材質選択が可能な「オーダーメイド段ボール」の自動見積りサービスを提供。ウェブ上でデザインから注文まで手軽に行える「オンラインデザイン印刷段ボール」や、規格品に社名・ロゴを印刷できる「名入れ段ボール」といったサービスも展開しました。特に「印刷付き段ボール」の当日出荷対応は、業界初の試みとして注目されました。

これらの取り組みの結果、同社の通販サイトは高い評価を獲得しました。2019年9月には東京商工リサーチの調査で、ダンボール・梱包資材専門通販サイトの売上高など主要4部門で1位を達成。ゼネラルリサーチ社の調査でも「顧客満足度1位」に選ばれるなど、市場での地位を確固たるものとしました。

組織再編とラクスルへの統合

2017年には辻俊宏氏によるMBOが行われ、経営の独立性が高まりました。事業拡大の一環として、2018年に「オーダーボックス・ドットコム」、2020年に「ダンボールネット」といった通販事業を買収しました。2018年には石川県金沢市に本部を開設するなど、体制を強化しました。

2020年10月、グループ内再編により、株式会社ダンボールワン・ラボが株式会社ダンボール・ワンを吸収合併し、存続会社が株式会社ダンボールワンに商号を変更しました。

ラクスルとの関係は、2020年12月の関連会社化に始まり、2022年2月には辻俊宏氏からの株式譲渡によりラクスルの完全子会社となりました。完全子会社化後、2022年8月には代表取締役社長が渡邊建氏に交代しています。

そして、2023年8月1日、株式会社ダンボールワンは親会社である株式会社ラクスルに吸収合併され、法人としての活動を終えました。しかしながら、「ダンボールワン」のECサイト事業は、ラクスルのもとで現在も継続されており、そのサービスは生き続けています。

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