ダークネット

ダークネットとは

ダークネットとは、通常のインターネットとは異なり、特定のソフトウェア、構成、承認がなければアクセスできないオーバーレイネットワークのことです。非標準の通信プロトコルとポートを使用しており、通常の検索エンジンではインデックス化されません。代表的なダークネットには、フレンド・トゥ・フレンド（F2F）ネットワークやTorのようなプライバシーネットワークがあります。

ダークネットの種類

フレンド・トゥ・フレンド（F2F）ネットワーク: 主にP2P接続でファイル共有に用いられます。
プライバシーネットワーク: Torのような匿名化技術を用いたネットワークで、利用者のプライバシー保護を目的としています。

ダークネットとその他の用語

ダークネットの対義語としては、通常のインターネットである「クリアネット」や、検索エンジンでインデックス化できる「表層Web」があります。

また、しばしば「ダークウェブ」と混同されることがありますが、「ダークウェブ」はTorネットワーク上の隠されたサイト群を指し、ダークネットの一部に過ぎません。さらに、「深層Web」は検索エンジンが収集しないサイト全般を指し、ダークウェブは深層Webの一部分に当たります。

ダークネットの起源

「ダークネット」という言葉は、1970年代にARPANET（インターネットの前身）から隔離されたネットワークを指す言葉として生まれました。当初はセキュリティ目的で用いられ、ネットワークリストには表示されず、外部からのアクセスに応答しないものでした。

その後、2002年にマイクロソフトの研究者による論文「The Darknet and the Future of Content Distribution」が発表され、ダークネットの存在が広く知られるようになりました。この論文では、ダークネットがデジタル著作権管理（DRM）技術の発展を阻害する要因であると指摘されています。

ダークネットとサブカルチャー

ジャーナリストのJ.D.ラシカは、2005年の著書でダークネットをファイル共有ネットワークとして捉え、2014年にはジェイミー・バートレットが、ダークネットをカムガール、クリプトアナーキスト、薬物売買、自傷行為コミュニティなど、多様なサブカルチャーが存在する場所として記述しました。

ダークネットの利用

ダークネットは、以下のような様々な目的で利用されます。

正当な利用

内部告発やニュースのリーク
監視社会からのプライバシー保護
政治的報復からの反体制派の保護
言論や契約の自由の保護
検閲や通信制限の回避

違法な利用

ファイル共有（著作権侵害コンテンツ、ポルノなど）
ダークネットマーケットでの違法な商品・サービスの販売
サイバー犯罪（ハッキング、ファイル改ざんなど）

ダークネットへのアクセス

ダークネットにアクセスするには、特定のソフトウェアのインストールやネットワーク設定が必要です。例えば、TorネットワークにはTorブラウザやプロキシ設定が必要です。

アクティブなダークネット

現在アクティブなダークネットの例として以下のようなものがあります。

分散ネットワーク42: 研究目的のネットワーク
Freenet: P2Pファイル共有ネットワーク、オープンネットとしても利用可能
GNUnet: F2Fネットワークをサポート
I2P（不可視インターネットプロジェクト）: 匿名通信に特化したネットワーク
OneSwarm: P2Pファイル共有ネットワーク
RetroShare: F2Fファイル共有ネットワーク
Riffle: 高い匿名性を保つクライアント・サーバシステム
Syndie: 分散型匿名掲示板システム
Tor: 匿名通信ネットワーク、ダークネットの代表的な例
Tribler: ファイル共有ネットワーク
ZeroNet: Tor上で構築された分散型ウェブサイトシステム

サポート終了・消滅したダークネット

過去には以下のようなダークネットが存在しましたが、現在ではサポートが終了したり、消滅しています。

RShare
StealthNet
AllPeers
anoNet
Turtle F2F

まとめ

ダークネットは、その匿名性とプライバシー保護の機能から、様々な目的で利用されています。一方で、違法行為の温床となる側面も持ち合わせています。その利用には注意が必要です。