I2P

I2P（The Invisible Internet Project）は、インターネット上の通信において、発信元と受信元の匿名性を確保し、通信内容を暗号化するためのソフトウェアおよびプロトコルです。このプロジェクトは、ネットワーク上の通信を匿名化することに焦点を当てています。

I2Pの仕組み

I2Pネットワークでは、通信の端点が暗号化された識別子によって一意に識別されます。これは、TCP/IPにおけるIPアドレスとポート番号による識別と似ています。しかし、I2Pの識別子からはIPアドレスを特定することができません。このため、ネットワークの利用者もサービス提供者も、互いに匿名での通信が可能になります。

I2Pは既存のTCP/IPネットワーク上に構築されるオーバーレイネットワークとして機能します。I2PネットワークのAPIを直接利用するアプリケーション開発は計画段階ですが、現時点では実現していません。代わりに、既存のアプリケーションがI2Pネットワークを通信路として利用するためのブリッジ（プロキシ）ソフトウェア「I2PTunnel」が提供されています。

I2Pのメリット

I2PTunnelを使用することで、IPアドレスを公開することなくウェブサーバーやIRCサーバーなどのサービスを提供できます。また、利用者は自身のIPアドレスを隠したままサービスを利用できます。Apache HTTP ServerやMozillaなどの既存のソフトウェアをそのまま利用できる点が大きなメリットです。

I2Pのデメリット

デフォルトで設定されているI2P HTTPプロキシ（127.0.0.1:4444）は、outboundproxyとして「false.i2p」が指定されています。これにより、I2Pネットワーク内だけでなく、通常のウェブサイトにもアクセスできますが、非常に動作が重いです。この機能はあくまでおまけ程度であり、I2PはI2P外のネットワークにアクセスする手段としては適していません。

また、I2Pを起動してから実際に利用可能になるまで、数十秒から1分程度の時間がかかる場合があります。さらに、よく知られた匿名化ソフトウェアであるTorとは異なり、使用にあたっていくつかの設定が必要になります。

I2Pのソフトウェア

現在、I2PはWindows、macOS、Linux、Android向けにソフトウェアが提供されています。Javaがインストールされていれば動作し、ブラウザ上で操作を行います。

主なI2P関連ソフトウェア

I2PSnark: I2Pに標準で実装されているBit[[Torrent]]クライアント。
Vuze: I2Pネットワークに対応したプラグインが提供されているBit[[Torrent]]クライアント。
Susimail: I2Pネットワークを通してのみ送受信可能なメールサービス。
HiddenService (eepsite): I2Pネットワークを通してのみ閲覧可能なウェブサーバー。

補足

I2Pは、匿名性の高いネットワークを構築するための強力なツールですが、設定や利用にはある程度の知識が必要です。また、ネットワークの特性上、通信速度が遅くなる場合がある点も留意する必要があります。

外部リンク

公式ウェブサイト（日本語）
Transifex上の翻訳プロジェクト

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