ツツガムシ病

ツツガムシ病概要

ツツガムシ病（ツツガムシびょう、恙虫病）は、ダニ科の一種であるツツガムシによって媒介されるリケッチア感染症です。この疾患は、主にツツガムシリケッチア（Orientia tsutsugamushi）という病原体が原因となり、感染したダニが皮膚に吸着することで人に感染します。日本では四類感染症として指定されており、感染の広がりや症状が注目されています。

症状と発症

ツツガムシ病は、特にインフルエンザ様の症状が現れることが特徴で、発熱、倦怠感、食欲不振、強い頭痛などが伴います。初期の症状が出た後、2日目頃から体幹に紅斑や丘疹が現れることがあります。刺し口の周囲には赤味を伴う水疱ができ、その後、黒色の痂皮へと変化します。このような症状は1-2か月で治癒しますが、早期の診断と治療が重要とされています。

分類と媒介者

ツツガムシ病は「古典型」と「新型」の2つに分類されます。古典型は主にアカツツガムシが媒介するもので、特に東北・北陸地域での夏季に多発する風土病として知られています。一方、新型は主にタテツツガムシやフトゲツツガムシが関与し、秋から冬にかけての発生が特徴です。

ツツガムシは日本国内で80種類以上が確認されていますが、その中でリケッチアを保有し人に感染するものは限られています。また、感染はツツガムシの幼虫が温血動物に吸着することで開始され、初期には感染者が刺された記憶がないこともしばしば観察されます。

診断法

診断には、感染の疑いがある症状や刺し口の確認が重要で、特に刺し口は腹部や背中などに現れるため、発見が難しい場合があります。また、血液検査による抗体測定も行われ、間接蛍光抗体法（IFA）が一般的に用いられます。正確な診断が難しく、紅斑が見られないケースでは重症化することもあります。

治療と予防

ツツガムシ病にはテトラサイクリン系の抗菌薬が主に使用され、早期に適切な治療を行うことで症状が改善されます。しかし、治療が遅れると症状が悪化する可能性があるため注意が必要です。予防には、汚染地域に入らないことや長袖の着用、防虫剤の使用などが推奨されており、刺されない努力が求められています。

日本における歴史

日本では、ツツガムシ病は古くから知られており、特に東北地方を中心に多くの疫学的証拠があります。江戸時代には「恙虫」による病気が記録されており、住民は神社や地蔵を建立して無病息災を祈ったと言われています。明治時代以降、発生の確認が進み、戦後は新型ツツガムシ病の出現など新たな感染が報告されています。現在では全国で発生が確認されており、早期の対応が重要視されています。

以上のように、ツツガムシ病は複雑な歴史を持ち、今なお注意が必要な感染症です。医療現場では、早い段階での診断と治療が患者の回復に大いに貢献することが期待されています。

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