防虫剤

防虫剤とは

防虫剤とは、害虫を忌避するために使用される薬剤の総称です。衣類を害虫から守るもの、人体に不快感を与える虫を寄せ付けないようにするもの、食品を虫害から保護するものなど、様々な種類があります。それぞれの用途に応じて適切な防虫剤を選ぶことが重要です。

衣類用防虫剤

衣類用防虫剤は、主にイガ、コイガ、カツオブシムシなどの幼虫から衣類を守るために使用されます。これらの害虫は、衣類を食害し、繊維を傷める原因となります。衣類用防虫剤には、天然素材を用いたものと化学合成されたものがあります。

天然素材の防虫剤

白檀、丁字、龍脳、桂皮などの天然素材を用いた防虫剤は、「防虫香」と呼ばれ、古くから書画、掛軸、骨董品などの保存に利用されてきました。天然素材ならではの優しい香りが特徴です。

化学合成の防虫剤

化学合成の防虫剤には、かつてはナフタレンやパラジクロロベンゼンが主流でしたが、刺激臭が問題視されていました。現在では、ピレスロイド系の化学物質が主流となっており、臭いが少なく、より安全に使えるものが多くなっています。また、除湿剤と一体になったものも市販されており、湿気対策と防虫対策を同時に行うことができます。

衣類用防虫剤の注意点

衣類用防虫剤を使用する際には、以下の点に注意が必要です。

異なる種類の防虫剤を混ぜて使用しない： 異なる種類の防虫剤を混ぜると、液状化して衣類にシミを作ってしまう可能性があります。
有効期間を守って使用する： 衣類用防虫剤の効果は、6ヶ月から12ヶ月程度です。衣替えの時期を目安に交換するようにしましょう。

主要な衣類用防虫剤メーカー

エステー（ムシューダ）
白元アース（ミセスロイド）
アース製薬（ピレパラアース）
大日本除虫菊（タンスにゴンゴン）
フマキラー（サザン）

人体用防虫剤

人体用防虫剤は、蚊やダニなどの害虫を忌避し、刺されることによる不快感や病気の媒介を防ぐために使用されます。主にスプレータイプ、ミストタイプ、ウェットシートタイプ、塗るタイプなどがあります。

有効成分

人体用防虫剤の有効成分としては、ディートやイカリジンが一般的です。ディートは効果が高い反面、人によっては刺激を感じることがあります。一方、イカリジンは、ディートに比べて刺激が少なく、子供にも使用しやすいとされています。また、ハーブやハッカなどの天然成分を使用した製品も市販されています。

人体用防虫剤の注意点

使用方法をよく読んでから使用する
目や口に入らないように注意する
肌に異常を感じた場合は使用を中止する

主要な人体用防虫剤メーカー

アース製薬（サラテクト）
ジョンソン（スキンガード）
池田模範堂（ムシペール）
興和（ウナ）
フマキラー（スキンベープ）
大日本除虫菊（プレシャワー）

食品用防虫剤

食品用防虫剤は、米、麦、豆などの穀物を害虫から守るために使用されます。米びつ用防虫剤が一般的で、ワサビ、唐辛子、シソ、茶エキスなどの食品由来成分を用いて、コクゾウムシなどの害虫を忌避する効果があります。また、米の脱臭効果があるものもあります。

食品用防虫剤の注意点

食品に直接触れないように使用する
使用方法をよく読んでから使用する

空間用防虫剤

空間用防虫剤は、ピレスロイド系の薬剤を空気中に蒸発させ、虫を寄せ付けないようにするものです。ベランダや玄関などにつり下げて使用します。ただし、消費者庁の調査により、一部商品において効果の根拠が認められないとして、措置命令が出された事例もあります。購入する際は、表示をよく確認するようにしましょう。

まとめ

防虫剤は、種類や用途に応じて様々なものがあります。それぞれの特性を理解し、正しく使用することで、害虫から快適な生活を守ることができます。使用方法をよく読み、注意点を守って安全に使用しましょう。

参考資料

食品保健研究会（編） 編『知っておきたい食品衛生 六訂版』厚生省生活衛生局食品保健課（監修）、大蔵省印刷局、1989年。ISBN 978-4-17-217507-0。

関連項目

防虫植物の一覧
防蟻剤
防腐剤
防カビ剤
殺虫剤
網戸
蚊帳
虫刺され

外部リンク

ナフタリン，パラジクロルベンゼン，樟脳の鑑別法（福岡県薬剤師会）

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