ティーガーII

ティーガーII：重装甲と火力を誇ったドイツの重戦車

ティーガーII（Panzerkampfwagen VI Tiger Ausführung B）は、第二次世界大戦中にドイツが開発した重戦車です。ティーガーIの後継として、より強力な装甲と火力を備え、連合軍の戦車に対抗しました。

開発と特徴

ティーガーIIは、ティーガーIの設計思想を受け継ぎつつも、パンターのような傾斜装甲を採用し、車体前面は150mm、砲塔前面は180mmという重厚な装甲を誇りました。主砲には強力な8.8cm KwK 43/2 L/71戦車砲を搭載し、長射程から敵戦車を撃破する能力を持っていました。しかし、その一方で、重量は約70トンにも達し、機動性は高くありませんでした。

アメリカ軍は「キングタイガー」、イギリス軍は「ロイヤルタイガー」と呼び、その強大な力に畏怖しました。ドイツ国内では「ケーニッヒスティーガー（王の虎）」とも呼ばれました。

設計

砲塔

ティーガーIIの砲塔は、初期型ではポルシェ社が設計した「ポルシェターレット」、後期型ではヘンシェル社が設計した「ヘンシェルターレット」が採用されました。ポルシェターレットは避弾経始に優れていましたが、ショットトラップが生じる可能性もありました。ヘンシェルターレットは直線的なデザインで、前面装甲が180mmと厚く、高い防御力を誇りました。

機械的な問題

戦況が悪化するにつれて、生産ラインから直接戦場へ送られるようになり、十分なテストや整備がされないまま運用されることが多くなりました。その結果、トランスミッションの故障やオーバーヒートが頻発し、稼働率は低下しました。特に、エンジンはパンターと同じものが流用されたため、出力不足に悩まされました。

生産

ティーガーIIは、1943年から1945年の終戦までに、試作車を含めて約489両が生産されました。生産数は、計画されていた数よりも大幅に少なく、工場の破壊や資源不足が原因でした。

実戦での活躍

ティーガーIIは、ノルマンディー上陸作戦を皮切りに、東部戦線やバルジの戦いなど、各地の戦線に投入されました。その重装甲と強力な火力は、防御戦で特に威力を発揮しました。しかし、機動性の低さや整備性の悪さから、攻勢時には苦戦することも多く、燃料不足も深刻な問題でした。市街戦では、その巨体が逆に動きを阻害し、イギリス空挺部隊に苦戦を強いられました。最終的には、燃料切れや故障により放棄された車両も多く、その実力を十分に発揮できなかったと言えるでしょう。

名称の変遷

ティーガーIIは、当初「ティーガーH3」と呼ばれていましたが、後に「ティーガーII」に変更されました。制式名称は「装甲戦闘車両ティーガー（8.8cm）（Sd.Kfz.182）B型」、または「ティーガーB型」です。「ケーニッヒスティーガー」という名称は、非公式な通称として使われていました。

バリエーション

ポルシェ砲塔型

初期に生産されたティーガーIIで、クルップ社が設計し、ポルシェ社が生産した砲塔を搭載しています。

ヘンシェル砲塔型

後期に生産されたティーガーIIで、ヘンシェル社が設計した砲塔を搭載しています。

派生型

ヤークトティーガー: ティーガーIIの車体をベースに開発された駆逐戦車。
Gerät 809: ティーガーIIをベースとした対戦車自走砲（モックアップのみ）。
* E-75: ティーガーIIの後継として計画された戦車。

まとめ

ティーガーIIは、第二次世界大戦末期に登場したドイツの重戦車であり、重装甲と強力な火力を誇りました。その一方で、機動性や整備性には課題があり、戦況が悪化するにつれてそのポテンシャルを十分に発揮することができませんでした。それでも、連合軍にとっては脅威的な存在であり、戦後もその名と存在は歴史に刻まれることとなりました。

もう一度検索