デンヨー

デンヨー株式会社

東京都中央区に本社を置くデンヨー株式会社は、建設現場や屋外イベントなど、多様なシーンで利用される屋外用電源機器の製造を主要事業とする企業です。特にエンジン発電機や溶接機において、長年にわたり国内市場で高いシェアを維持し、業界をリードする存在として知られています。発電機は夜間工事を照らす投光機への電力供給や、非常時のバックアップ電源、さらにはキャンプなどのレジャー用途で手軽に使える可搬型タイプまで幅広く展開しています。

沿革と発展

会社の始まりは1948年7月、「日本電気熔接機材株式会社」として東京入船町（現在の新富町）に設立されたことに遡ります。翌1949年には東京中野工場を開設し、抵抗および交流アーク溶接機の生産を開始。1956年には回転式直流アーク溶接機の製造も手がけるようになります。そして1959年には、国内初となる高速エンジン溶接機を開発し生産を開始するとともに、埼玉県に埼玉工場を完成させ、エンジン発電機の生産体制を確立しました。

社名を現在の「デンヨー株式会社」に改称したのは1966年7月です。これは設立当初の社名「日本電気熔接機材」の略称に由来しており、長きにわたる事業の継続性を象徴しています。その後も事業を拡大し、1970年には滋賀工場、1976年には福井工場を相次いで開設し、生産能力を強化しました。また、1973年にはエンジンコンプレッサーの生産も開始しています。

グローバル展開も早期から積極的に行われ、1976年にはインドネシアに初の海外合弁会社を設立。その後もシンガポール、アメリカ合衆国、オランダ、ベトナムなど、アジアや欧米各地に製造・販売拠点を設け、国際的な事業基盤を築きました。特にアメリカ合衆国では、1990年代に製造子会社を設立し、現地生産体制を構築しています。国内工場については、生産効率化を図るため、2003年に滋賀工場を閉鎖・再編し福井工場へ、2010年には埼玉工場を閉鎖し福井工場への生産集約を進めています。

株式上場については、1980年に日本証券業協会への店頭登録を果たした後、1983年に東京証券取引所市場第二部に上場。2000年には同市場第一部に指定替えとなり、2022年4月からは東京証券取引所のプライム市場に移行しています。また、2018年には創立70周年を迎え、長年の歴史と実績を積み重ねています。

主要製品と事業領域

デンヨーが提供する製品群は多岐にわたりますが、核となるのは以下の分野です。

発電機: 可搬型、可搬形、一般停電用予備、非常用、電源車など多様なタイプがあり、国内市場で約70%のシェアを占めています。
溶接機: エンジン式（ガソリン・ディーゼル）、バッテリー式などがあり、特にエンジン溶接機に強みを持っています。国内市場シェアは約55%です。
* コンプレッサー: 国内市場において約15%のシェアを持っています。

これらの主力製品に加え、高所作業車、エンジン投光機、高圧洗浄機などもラインアップしており、建設・土木、インフラ整備、イベント、防災など、幅広い分野で活用されています。

生産・販売ネットワーク

主要な国内製造拠点は福井県若狭町にある福井工場です。海外においては、アメリカ合衆国（ケンタッキー州）、インドネシア（西ジャワ州）、ベトナム（ハノイなど）に生産拠点を構えています。これらの工場に加え、国内外に多数の関連会社を配置し、製品の開発、製造、販売、メンテナンス、物流に至るまで、包括的な事業活動を展開しています。

その他

主な取引金融機関としては、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、伊予銀行などが挙げられます。旧第一勧業銀行の流れを汲む第一勧銀グループ（三金会）にも名を連ねていますが、特定の金融機関に偏らず幅広い銀行と取引関係を築いています。

また、企業活動のアピールとしてテレビコマーシャルも活用しており、過去には「技術で明日を築く」をスローガンとしたCMや、プロレスラーのキューティー鈴木さんを起用したCMなどが放送されました。近年では俳優の浜辺美波さんが出演する新しいCMも展開されるなど、時代に合わせて多様な広報活動を行っています。

屋外用パワーソースのリーディングカンパニーとして、デンヨーは技術革新とグローバル展開を通じて、社会の発展に貢献し続けています。

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