トラック&フィールド

トラック＆フィールドの概要と日本における現状

トラック＆フィールドは、陸上競技の一部で、トラック競技とフィールド競技を含む種目の総称です。この競技は、専用の陸上競技場内で行われることが求められ、マラソンや駅伝のようなロードレースは含まれません。日本においては「陸上競技部」という名称で使われることが多いですが、陸上競技の正式な英語表記は「Athletics」です。

日本におけるトラック＆フィールドの選手と状況

現在、日本を代表するトラック＆フィールドの選手には為末大、末續慎吾、室伏広治などがいますが、彼らの知名度は他の競技と比較して低いのが現状です。特にマラソンや駅伝はテレビ中継の機会が多いため、一般の人々に親しまれていますが、トラック＆フィールドの試合は日本[[陸上競技選手権大会]]など限られた大会のみで放送されることが多く、そのため多くの選手が一般市民に知られることは少ないのです。

高校や大学で全国大会レベルで活躍した選手も、社会人になってから実業団に所属し続ける人は少数派です。これは、多くの実業団が「陸上競技部」と名乗りながらも、実際にはマラソンや駅伝のような中長距離競技ばかりを優先して募集しているためです。経済的な理由から、成績不振のチームは廃部に追い込まれることも多く、長年続いているマラソンと駅伝の人気に対し、トラック＆フィールドの認知度や人気は未だに伸び悩んでいます。

駅伝チームでは、同じ職場に仲間が多く、フルタイムでなくても仕事をしながら士気が高まるという意見もあります。企業ごとに応援体制も充実しており、多くの社員が大会応援に参加することが一般的です。対照的にトラック＆フィールドでは、一つの企業に所属する選手が少なく、合宿や海外遠征で職場を留守にする選手も多いため、同僚たちの応援が薄れる傾向にあります。

実業団における経済的な理由から、トラック＆フィールドは厳しい選手環境にさらされています。特にフィールド種目では、道具の準備や練習施設の確保が難しく、フルタイム勤務をしながら夜間に練習できる場所を探すのも一苦労です。多様な種目の選手を保持するためには、それぞれの分野にコーチを雇うなど、多くの人件費がかかります。

かつては多くの実業団がトラック＆フィールドに力を入れていましたが、現在では長距離中心のチームが居を占めるようになり、トラック競技に注力する実業団は極わずかです。一方で、クラブチームや専門学校も全国大会に出場するようになっており、実業団システムの代わりに注目されています。指導者不在の選手は、自身の出身高校や大学で指導を受けることも増えています。

トラック＆フィールドとマラソン・駅伝の環境の違い

このように、トラック＆フィールドの選手と中長距離選手の立場は明らかに異なります。特に箱根駅伝の人気が高まっている中、大学では駅伝強化が優先され、トラック競技が軽視される傾向があります。そのため、関東学生陸上競技連盟は予選会の成績に対し、他の競技の成績を加味するポイント制を導入しました。その結果、過去には逆転出場も見られるようになりましたが、一方で「駅伝だけを優先すれば良い」という風潮がトラック競技の発展を妨げてしまっています。

とはいえ、トラック＆フィールドには優れた選手も多く存在しています。為末や室伏選手のように世界レベルで競い合う選手が活躍し、特に男子リレーはオリンピックでのメダル獲得について期待が寄せられています。2008年の北京オリンピックでは、400メートルリレーで銅メダルを獲得し、日本陸上界にとっては大きな成果でした。

歴史的に見ても、日本には多くの優れたトラック＆フィールド選手が存在しており、決して競技が弱かったわけではありません。しかし、少子化などの影響で陸上部が減少し、指導者が不足する現状では若手選手の育成がおぼつかないのが現状です。これに対して、日本陸連などによる改革が期待されています。

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