トヴァシュトリ

トヴァシュトリとは

トヴァシュトリ（Tvaṣṭṛ）は、インドのヴェーダ宗教における重要な創造神であり、神話において世界の創造に深く関わっています。彼は『プルシャ讃歌』からも名を知られ、ここではトヴァシュトリが創造の力を具現化した存在として説明されています。この文献では、彼が不可視の神ヴィシュヴァカルマンの臍から現れたことが示唆されています。

創造の工匠とその役割

トヴァシュトリは、天界における工匠としての役割を持ち、特にインドラの持つヴァジュラ（雷の矛）を創り出したことで知られています。また、神酒ソーマの守護者としても名高い彼は、実際には様々な神々のために多くの道具や武器を造り出してきました。『リグ・ヴェーダ』では、トヴァシュトリは65回も言及されており、彼の重要な役割は古代インドの文明において欠かせないものであったと言えます。

胎児の形成者

彼は人間や動物の肉体を形成する存在としても知られており、そのために「胎の主」（ガルバパティ）とも称されています。これは、胎児が望まれるときにその力を行使するというトヴァシュトリの神聖な役目に関連しています。彼はブリグ族の氏族に属し、叙事詩『マハーバーラタ』でも言及され、シュクラの息子とされています。

関連する神々との関係

トヴァシュトリはしばしば、他の神々とも関連付けられます。たとえば、サヴィトリ、プラジャーパティ、ヴィシュヴァカルマン、プーシャンなどの神々と同一視されることがあり、これにより彼の神話的役割の幅広さが窺えます。彼の娘・サラニューは、太陽神スーリヤとの間に双子を産んだことで知られており、その中には死の神ヤマと彼の姉妹ヤミーが含まれます。

復讐と神話の展開

トヴァシュトリは、後にインドラによって殺されるヴィシュヴァルーパまたはトリシラスの父でもあります。復讐を求めて、彼は恐ろしい竜ヴィリトラを創造しました。このエピソードは、インドラとの対立を示し、インド神話におけるトヴァシュトリの力強い存在感を強調しています。

日の神としての側面

また、トヴァシュトリは『マハーバーラタ』やその補遺『ハリ・ヴァンシャ』において太陽神の側面も持ち、聖仙カシュヤパと女神アディティの子として描かれています。この側面も彼の属性を豊かにし、神話における多様な役割を理解する手助けとなります。

トヴァシュトリは、インド神話における重要な神であり、その存在は創造や工芸、さらには生命の起源に深く根ざした力を象徴しています。彼の物語は、古代インドの文化や信仰における創造の概念を探求する貴重な鍵となるでしょう。

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