ドゥラエレーデ

ドゥラエレーデ：90倍の伏兵からG1ホースへ

2020年1月29日、北海道安平町のノーザンファームで誕生した競走馬ドゥラエレーデ（Dura Erede）。その名は、父名と「最高の後継者」を意味するイタリア語を組み合わせたもの。祖母にアルゼンチンでG1を3勝したマルペンサ、伯父に菊花賞と有馬記念を制したサトノダイヤモンドを持つ、まさに良血を受け継いだサラブレッドです。

ドゥラエレーデは、2021年のセレクトセール1歳セールで1億円（税別）という高額で落札されました。これは、その潜在能力の高さを示すものであり、関係者の高い期待を反映した結果と言えるでしょう。

2歳シーズンは、6月の阪神競馬場でのデビュー戦を5着で終え、まずまずのスタートを切りました。続く札幌競馬場でのレースでは、2着と惜しくも勝利を逃しましたが、その後のダート戦で初勝利を挙げ、潜在能力の片鱗を見せつけました。その後、GII東京スポーツ杯2歳ステークスでは4着と健闘し、さらなる飛躍への期待を高めました。

そして迎えたのが、2022年12月28日の中山競馬場で行われたGIホープフルステークスです。鞍上には、短期免許で来日していたドイツのリーディングジョッキー、バウイルザン・ムルザバエフ騎手が起用されました。しかし、直前のオッズでは、ダート戦しか勝利経験がないことや、末脚の切れに欠けるとの見方から、18頭中14番人気（90.6倍）という低評価に甘んじました。

レースでは、伏兵トップナイフが先手を奪う展開の中、ドゥラエレーデは2番手でレースを進めました。前半1000mを1分1秒5というスローペースで通過し、最後の直線ではトップナイフとの激しい叩き合いを展開。写真判定の結果、僅差で勝利を掴み取りました。この勝利は、ムルザバエフ騎手にとってJRA・GI初制覇、池添学調教師にとってもGI・JpnI級競走初勝利となりました。3連単の払い戻しは246万6010円と高額となり、多くのファンを興奮させました。また、父・母父がともにクラシック二冠以上という配合の馬によるGⅠ制覇は史上初という快挙でもありました。

3歳シーズンは、UAEダービーで2着と好走。その後、東京優駿（日本ダービー）に出走予定でしたが、スタート直後に落馬、競走中止というアクシデントに見舞われました。人馬ともに怪我はなかったものの、大きな衝撃を与えました。ダービー競走中止は1993年以来30年ぶりであり、改めてレースの危険性を認識させられる出来事となりました。

その後も、宝塚記念、朝日杯セントライト記念、チャンピオンズカップ、東京大賞典と重要なレースに挑み続け、チャンピオンズカップでは3着、東京大賞典でも3着と、着実に力を示しています。特にチャンピオンズカップでは、海外遠征を視野に入れた発言も関係者からあり、今後の活躍が期待されます。

ドゥラエレーデは、人気薄からの大金星、そして幾多の困難を乗り越えての活躍と、多くのドラマを刻んできた競走馬です。その今後の活躍に、多くのファンが注目しています。

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