ドゥームメタル

ドゥームメタル(Doom Metal)

ドゥームメタルは、ヘヴィメタル内のサブジャンルの一つで、遅いテンポと重厚なサウンドが特徴です。一般的にヘヴィメタルのイメージは高テンポで過激ですが、ドゥームメタルはその正反対のアプローチをとっています。このジャンルでは、しばしば暗く陰鬱なテーマが歌詞に用いられます。

歴史背景

ドゥームメタルの起源は、1970年にリリースされたブラック・サバスの1stアルバム『黒い安息日』にさかのぼります。このアルバムは、終末やオカルトというテーマを探求し、遅く重いサウンドを創出しました。ブラック・サバスのメンバーは麻薬中毒者であり、当時のサイケデリックロックの影響も受けていました。ドゥームメタルとしての認知は、1980年代にキャンドルマスやトラブルといったバンドが登場することで高まりました。「ドゥーム」という名称は、キャンドルマスのアルバム『Epicus Doomicus Metallicus』から名付けられています。

スタイルの多様性

ドゥームメタルは、スタイルの多様性を持ちつつも、基本的には初期ブラック・サバスの要素を何らかの形で継承しています。以下に代表的なスタイルをいくつか紹介します。

トラディショナル・ドゥーム(Traditional Doom)

1980年代に登場したトラディショナル・ドゥームは、ブラック・サバスから受け継いだ遅いテンポや重い音作りが特徴です。WitchcraftやReverend Bizarreは、暗いテーマに歌詞を寄せるとともに、妖しげな旋律を強調しました。このスタイルは、当時の流行を代表するセックス・ドラッグ＆ロックンロール的なイメージから脱却し、ドゥームメタルとして独自の地位を確立しました。

エピック・ドゥーム(Epic Doom)

エピック・ドゥームは、ファンタジーや神話が主なテーマであり、クラシック[[音楽]]の要素を取り入れたメロディとオペラ風の歌唱が特徴的です。このスタイルは、キャンドルマスが用いた「叙事詩的」な感覚を反映しています。

[デス・ドゥーム]

1990年代のデスメタルバンドの中には、スピード感と重厚さの両方を追求するものが現れました。パラダイス・ロストやアナセマ、マイ・ダイイング・ブライドなどのバンドは、このスタイルを確立しました。ゴシック・ロックの要素も取り入れられ、後のゴシックメタルの源流にもなりました。

フューネラル・ドゥーム(Funeral Doom)

フューネラル・ドゥームは、より遅いテンポと重苦しいサウンドが特徴で、死や破滅といったテーマを強調します。バンドによってはシンセサイザーを使用し、ダークアンビエントと融合したスタイルも存在します。

ストーナー・ドゥーム(Stoner Doom)

ストーナー・ロックにヘヴィメタルの要素が加わったスタイルで、遅いテンポと重厚な音像が共通点です。カイアスのようなバンドがこの流派を牽引しました。このスタイルの一部は、ノスタルジックな雰囲気を持ちつつ、ブラック・サバスにインスパイアされています。

スラッジ・ドゥーム(Sludge Doom)

スラッジ・メタルとも呼ばれ、遅く重いサウンドを特徴とします。薬物中毒や政治的メッセージが歌詞に込められることが多く、メルヴィンズやアイヘイトゴッドが代表的な存在です。

ドローン・ドゥーム(Drone Doom)

非常に遅いテンポと最小限の音数が特徴で、長く引き伸ばされたリフが繰り返されます。このスタイルは、インストゥルメンタルであり、時にはドラムなしで演奏されることもあります。

ブラック・ドゥーム(Black/Doom)

ブラックメタルの要素を取り入れたドゥームメタルで、過酷な雰囲気やムーディーなテーマが共存します。代表的なバンドにはBarathrumやForgotten Tombがあります。

まとめ

ドゥームメタルは、そのダークなテーマと重厚なサウンドを通じて、ヘヴィメタルの多様性を表現する重要なジャンルとして位置づけられています。代表的なバンドやスタイルを理解することで、ドゥームメタルの奥深さに触れることができるでしょう。

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