ナイトストライカー
1989年にタイトーがアーケード向けに稼働を開始した『ナイトストライカー』は、疑似的な3D表現を用いたシューティングゲームである。一人乗りの大型コックピット筐体と、その独特な演出システム、そして革新的なゲームシステムが、稼働から30年以上を経た現在でも多くのゲームファンから語り継がれる名作だ。ディレクターは海道賢仁氏が務めた。略称は『ナイスト』。「夜の街を駆け抜けろ！」というキャッチコピーが、その世界観とゲーム性を端的に表している。
プレイヤーは専用機体「インターグレイ Xsi」に搭乗し、アナログレバーを操作して夜の街を縦横無尽に飛び回り、襲来する敵機を撃破していく。操作は飛行機のように、レバーを手前に引くと上昇、奥に倒すと下降する独特の仕様だ。攻撃は人差し指部分のトリガーでレーザー弾を発射。左右の攻撃ボタンは単独でレーザーを発射するが、レバーを傾けながら同時押しすることで、向いている方向で最も近い敵を自動追尾するホーミングレーザーを発射できる。各ラウンドの最後には強力なボスが登場し、これを破壊するか制限時間内に逃げ切ることでラウンドクリアとなる。ゲームは全6ラウンドで構成されているが、ラウンドクリア後には二手に分かれるルートから次のステージを選択して進んでいくため、全体で21種類のステージが存在する。被弾や障害物への衝突によりシールド残量が減少し、これがゼロになるとゲームオーバー（コンティニュー可能）となる。シールドはラウンド開始時に一定量回復し、最大で9ポイントまで保持できた。また、特定のステージではレバー操作で自機を地表に降下させ、タイヤを出して地上を走行するモードに移行することも可能だ。
『ナイトストライカー』の最大の特徴の一つが、その一人乗りコックピット型筐体である。座席はプレイヤーに合わせて前後に調整できる構造になっていた。そして、モニター画面の上下左右を取り囲むように設置された「ライトストリームシステム」は、稼働当時としては極めて独創的な演出装置だった。これは光を透過する回転体で、ゲーム画面の進行に合わせて光が流れるように見えることで、夜の街を高速で駆け抜けるような臨場感をプレイヤーに与えた。サウンド面も充実しており、前後のスピーカーに加え、座席内部には大口径ウーファーが内蔵され、迫力のある重低音を体感できた。しかし、この特殊な筐体構造は製造コストが高く、また故障も発生しやすかったため、日本国内での出荷台数はわずか303台にとどまったとされる。
本作の企画は、当初は大型可動筐体を用いた宇宙レースゲームとして検討されていたという。しかし、コスト面からこの案は実現せず、可動しない筐体でも臨場感を出す工夫として「ライトストリームシステム」のアイデアが生まれた。このシステムを活かす方向で「近未来の夜の街をエアカーで空中レースする」企画へと発展。さらに上司からの「ミサイルは撃てないのか？」という一言が加わり、最終的に「破壊」と「疾走感」を核とした3Dシューティングゲームとして完成したとされる。
本作には多岐にわたるスコア加算要素が存在する。常に加算されるランニング・ポイント、ボス撃破までの時間に応じたボスタイマー・ボーナス、ステージ内の敵を全て倒すと得られるワイプアウト・ボーナスに加え、最も特徴的なのが「パシフィスト・ボーナス」である。これは、弾を一切撃たず、かつ一切ダメージを受けずにラウンドをクリアすることで獲得できる高得点ボーナスだ。このボーナスの存在が明らかになって以降、一部のコアなプレイヤーたちは「シューティングゲームなのに弾を撃たない」という、従来の常識を覆す独特のプレイスタイルを追求し、ハイスコアを目指した。パシフィスト・ボーナスは連続して達成すると獲得点が倍増していく仕組みだった。他にも、特定の場所を通過したり、特定の条件を満たすことで得られるミステリー・ボーナスも存在し、ゲームクリア以外の楽しみを提供していた。最終ラウンドでは、選択したルートに応じて開始前に独自の演出が発生し、自機の性能が変化する。エンディングデモでは、プレイヤーが操作する機体が、国連特務機関特別行動隊「ナイトストライカー」の別動隊として任務を遂行していたことが示唆される。
稼働当時のゲーム誌『ゲーメスト』では、第3回ゲーメスト大賞で8位に入賞したほか、ベストシューティング、ベスト演出、ベストグラフィック、ベストVGMなど各部門で上位にランクインした。また、後のゲーメストムックの人気投票では4位を獲得。その独特の近未来的な世界観、筐体演出による臨場感、そしてパシフィスト・ボーナスに代表される斬新なシステムが多くのプレイヤーに支持された理由として挙げられている。出荷台数は少なかったものの、一部の熱狂的なファンを生み出し、「プレイヤーの心を強く惹きつけた作品」「究極の世界観を構築した作品」と評されることもある。
その人気の高さから、いくつかの家庭用ゲーム機にも移植された。主な移植版には以下がある。
メガCD版: グラフィックの解像度を下げることで、アーケード版に迫るスピード感を実現。操作性ではアナログコントローラー「AE1-EX」の使用が推奨された。移植にはソースコードが利用できず、実機を解析して開発されたというエピソードがある。2022年には『メガドライブ ミニ2』にも収録され、専用のアナログコントローラー「サイバースティック」にも対応している。
PlayStation版: グラフィックの再現度は高かったが、ゲームの挙動やタイミングに差異が見られた。アナログコントローラーには非対応。パッケージにはアーケード版を参考に制作された旨が記載されていた。
セガサターン版: 『ナイトストライカーS』のタイトルでリリース。PlayStation版よりもアーケード版の再現度を高める調整が見られたが、標準設定でのホーミング弾発射条件が厳しくなっていた。セガ製アナログコントローラー「ミッションスティック」に対応。オリジナルのフルCGムービーや、分岐のない6ステージ構成のオリジナルモード「EXTRA STAGE」が追加されている。
PlayStation 2版: 『タイトーメモリーズII 下巻』に収録。ロード時間がなくスムーズにプレイでき、オプション設定も豊富だった。
本作のBGMは、タイトーのサウンドチームZUNTATAのMar.こと高木正彦氏が作曲。独特の浮遊感や疾走感を表現した楽曲は高く評価され、ゲーム音楽賞を多数受賞している。直接的な続編は存在しないが、タイトーからは本作のコンセプトやシステムに影響を受けたと思われる作品（『ギャラクティックストーム』など）がリリースされている。また、タイトー以外のゲーム（『太鼓の達人』など）に本作のBGMが収録されるなど、他のメディアでもその存在感を示している。
プレイヤーは専用機体「インターグレイ Xsi」に搭乗し、アナログレバーを操作して夜の街を縦横無尽に飛び回り、襲来する敵機を撃破していく。操作は飛行機のように、レバーを手前に引くと上昇、奥に倒すと下降する独特の仕様だ。攻撃は人差し指部分のトリガーでレーザー弾を発射。左右の攻撃ボタンは単独でレーザーを発射するが、レバーを傾けながら同時押しすることで、向いている方向で最も近い敵を自動追尾するホーミングレーザーを発射できる。各ラウンドの最後には強力なボスが登場し、これを破壊するか制限時間内に逃げ切ることでラウンドクリアとなる。ゲームは全6ラウンドで構成されているが、ラウンドクリア後には二手に分かれるルートから次のステージを選択して進んでいくため、全体で21種類のステージが存在する。被弾や障害物への衝突によりシールド残量が減少し、これがゼロになるとゲームオーバー（コンティニュー可能）となる。シールドはラウンド開始時に一定量回復し、最大で9ポイントまで保持できた。また、特定のステージではレバー操作で自機を地表に降下させ、タイヤを出して地上を走行するモードに移行することも可能だ。
『ナイトストライカー』の最大の特徴の一つが、その一人乗りコックピット型筐体である。座席はプレイヤーに合わせて前後に調整できる構造になっていた。そして、モニター画面の上下左右を取り囲むように設置された「ライトストリームシステム」は、稼働当時としては極めて独創的な演出装置だった。これは光を透過する回転体で、ゲーム画面の進行に合わせて光が流れるように見えることで、夜の街を高速で駆け抜けるような臨場感をプレイヤーに与えた。サウンド面も充実しており、前後のスピーカーに加え、座席内部には大口径ウーファーが内蔵され、迫力のある重低音を体感できた。しかし、この特殊な筐体構造は製造コストが高く、また故障も発生しやすかったため、日本国内での出荷台数はわずか303台にとどまったとされる。
本作の企画は、当初は大型可動筐体を用いた宇宙レースゲームとして検討されていたという。しかし、コスト面からこの案は実現せず、可動しない筐体でも臨場感を出す工夫として「ライトストリームシステム」のアイデアが生まれた。このシステムを活かす方向で「近未来の夜の街をエアカーで空中レースする」企画へと発展。さらに上司からの「ミサイルは撃てないのか？」という一言が加わり、最終的に「破壊」と「疾走感」を核とした3Dシューティングゲームとして完成したとされる。
本作には多岐にわたるスコア加算要素が存在する。常に加算されるランニング・ポイント、ボス撃破までの時間に応じたボスタイマー・ボーナス、ステージ内の敵を全て倒すと得られるワイプアウト・ボーナスに加え、最も特徴的なのが「パシフィスト・ボーナス」である。これは、弾を一切撃たず、かつ一切ダメージを受けずにラウンドをクリアすることで獲得できる高得点ボーナスだ。このボーナスの存在が明らかになって以降、一部のコアなプレイヤーたちは「シューティングゲームなのに弾を撃たない」という、従来の常識を覆す独特のプレイスタイルを追求し、ハイスコアを目指した。パシフィスト・ボーナスは連続して達成すると獲得点が倍増していく仕組みだった。他にも、特定の場所を通過したり、特定の条件を満たすことで得られるミステリー・ボーナスも存在し、ゲームクリア以外の楽しみを提供していた。最終ラウンドでは、選択したルートに応じて開始前に独自の演出が発生し、自機の性能が変化する。エンディングデモでは、プレイヤーが操作する機体が、国連特務機関特別行動隊「ナイトストライカー」の別動隊として任務を遂行していたことが示唆される。
稼働当時のゲーム誌『ゲーメスト』では、第3回ゲーメスト大賞で8位に入賞したほか、ベストシューティング、ベスト演出、ベストグラフィック、ベストVGMなど各部門で上位にランクインした。また、後のゲーメストムックの人気投票では4位を獲得。その独特の近未来的な世界観、筐体演出による臨場感、そしてパシフィスト・ボーナスに代表される斬新なシステムが多くのプレイヤーに支持された理由として挙げられている。出荷台数は少なかったものの、一部の熱狂的なファンを生み出し、「プレイヤーの心を強く惹きつけた作品」「究極の世界観を構築した作品」と評されることもある。
その人気の高さから、いくつかの家庭用ゲーム機にも移植された。主な移植版には以下がある。
メガCD版: グラフィックの解像度を下げることで、アーケード版に迫るスピード感を実現。操作性ではアナログコントローラー「AE1-EX」の使用が推奨された。移植にはソースコードが利用できず、実機を解析して開発されたというエピソードがある。2022年には『メガドライブ ミニ2』にも収録され、専用のアナログコントローラー「サイバースティック」にも対応している。
PlayStation版: グラフィックの再現度は高かったが、ゲームの挙動やタイミングに差異が見られた。アナログコントローラーには非対応。パッケージにはアーケード版を参考に制作された旨が記載されていた。
セガサターン版: 『ナイトストライカーS』のタイトルでリリース。PlayStation版よりもアーケード版の再現度を高める調整が見られたが、標準設定でのホーミング弾発射条件が厳しくなっていた。セガ製アナログコントローラー「ミッションスティック」に対応。オリジナルのフルCGムービーや、分岐のない6ステージ構成のオリジナルモード「EXTRA STAGE」が追加されている。
PlayStation 2版: 『タイトーメモリーズII 下巻』に収録。ロード時間がなくスムーズにプレイでき、オプション設定も豊富だった。
本作のBGMは、タイトーのサウンドチームZUNTATAのMar.こと高木正彦氏が作曲。独特の浮遊感や疾走感を表現した楽曲は高く評価され、ゲーム音楽賞を多数受賞している。直接的な続編は存在しないが、タイトーからは本作のコンセプトやシステムに影響を受けたと思われる作品（『ギャラクティックストーム』など）がリリースされている。また、タイトー以外のゲーム（『太鼓の達人』など）に本作のBGMが収録されるなど、他のメディアでもその存在感を示している。
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