ナノテラス

ナノテラス (NanoTerasu)

ナノテラスは、宮城県仙台市青葉区に位置する3GeV高輝度放射光施設です。2024年4月1日に運用を開始し、東北大学青葉山新キャンパス内に設置されました。この施設は、特定先端大型研究施設の共用促進に関する法律で定められた特定放射光施設に該当します。

概要

施設の周長は349メートルで、エミッタンスは1.14 nmrad（ナノメートルラジアン）、加速エネルギーは3 GeVです。放射光とは、物質の特性や変化をナノスケールで観察できる特殊な光であり、ナノテラスにはこの放射光を利用する装置が複数配置されています。世界にはアメリカのNSLS-ⅡやスペインのALBA、スウェーデンのMAX-Ⅳ、中国の上海光源など、約50か所の放射光施設が存在し、日本国内には10か所に限られています。

ナノテラスの設備は、[量子科学技術研究開発機構]によって設置され、東北大学およびその周辺の7大学が中心となる光科学イノベーションセンター(PhoSIC)と官民連携の形で整備されています。高輝度光科学研究センターは、共用法に基づく登録施設利用促進機関として、施設の運営に参加しています。

サイエンスパーク

ナノテラスの近くには、4万平方メートルの規模を誇るサイエンスパークが整備中です。ここには、ナノテラスを利用する企業や大学の研究活動を推進する「東北大学放射光イノベーション・スマート研究センター」や、研究データ解析を行うための「東北大学未踏スケールデータアナリティクスセンター」が設けられる予定です。さらに、企業向けの貸研究室を備えた「青葉山ユニバース」が新たに建設されることとなっています。

2019年3月28日に着工し、2022年6月には施設の愛称がナノテラスに決まりました。2023年3月には基本建屋が竣工し、4月には線形加速器が目標とする性能を達成しました。2023年5月には共用法が改正され、特定放射光施設に追加され、12月7日にはファーストビームが達成されたことで注目を集めています。

ビームライン

ナノテラスでは、最大28本のビームライン（BL）を設置することができますが、運用の初期段階ではBL検討委員会により選定された10本のビームライン（PhoSICから7本、QSTから3本）が設置される予定です。

コアリション

中小企業向けにナノテラスを利用しやすくするための制度が設けられています。この制度では、製品開発を目指す企業と、実験や解析を行いたい研究者をマッチングします。企業は研究者の支援を受けながら実験を進めることができ、研究者も企業のさまざまな疑問を研究の材料として活用することができます。

ナノテラスは、科学研究の発展を支える重要な拠点となることが期待されています。

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