ナメル

ナメル装甲兵員輸送車について

ナメル（Namer）は、イスラエルのメルカバ戦車を基に開発された装甲兵員輸送車で、2008年にイスラエル国防軍に正式に採用されました。ナメルという名称は「ヒョウ」を意味し、イスラエルの戦車としては珍しい装甲兵員輸送車の一つです。2000年代初頭に開発が進められ、その背景には実戦での脆弱性への対応がありました。

開発の経緯

ナメルの開発は1990年代にさかのぼります。当時、イスラエル国防軍は旧式のT-54、およびT-55戦車の改修プロジェクトを行っていましたが、2000年代に入るとより強力な装甲兵員輸送車の必要性が高まりました。特に、2004年のガザ紛争でM113型の装甲兵員輸送車が即席爆弾などに対し脆弱であることが露呈し、その問題の解決に向けてメルカバ戦車を重装甲の兵員輸送車に改造するという構想が浮上しました。

2005年、ナメルの試作車両が開発され、その後の試験を経て2008年には正式に部隊配備されることとなりました。特に、メルカバ Mk 4を基にしたナメルは、その性能向上が期待されました。

設計と特徴

ナメルは、非常に高い生残性を誇り、補修が迅速に行えるようにモジュラー装甲を採用しています。特にV字型の底部装甲が施されており、底部からの攻撃に対して優れた防御力を発揮します。また、アクティブ防護システム（APS）も装備される予定で、近年ではトロフィーAPSの導入が進められています。

兵装に関しては、ナメルはラファエル社製のサムソンRCWSを搭載し、重機関銃や自動擲弾銃、迫撃砲などを使うことができます。さらに、外部操作式の機関砲や対戦車ミサイルの搭載も考えられています。

搭載能力と派生型

ナメルは、最大12名の兵員を運ぶ能力があり、バックドアやハッチの設計も工夫されています。救急車仕様の「ナメルビュランス」では医療設備も搭載可能です。

派生型としては、工兵車両タイプのナメルCEVや歩兵戦闘車型の新たなナメルIFVが開発され、特にIFVは無人の砲塔を持ち、従来の方法よりも安全に火力支援が行えるようになります。

国内外での運用

ナメルの初号機はイスラエルの第1ゴラニ旅団が取得し、その後様々な部隊で配備が進められています。その使用は国内に留まらず、アゼルバイジャンやコロンビア、アメリカ合衆国などとの交渉も行われており、国際的な需要も見込まれています。

まとめ

ナメルは、イスラエル国防軍の新たな戦力として注目されており、その高い防御能力や多様な運用が評価されています。今後も新しい型の開発や国際的な取引が進むことで、ナメルの役割がますます大きくなることが期待されています。

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