ハセツネCUP

日本山岳耐久レース（ハセツネCUP）

日本山岳耐久レース、通称「ハセツネCUP」は、1993年に始まった毎年恒例のトレイルランニングイベントです。開催地は東京都奥多摩や檜原村などの美しい山岳地帯で、競技者たちは71.5kmの距離と累積標高差4,582mを走破する挑戦に挑みます。この大会は日本のトレイルランニングの先駆けであり、長谷川恒男という著名な登山家にちなんで名付けられました。

概要とレースの特徴

ハセツネは、トレイルランニングの黎明期より続いているクラシックなレースの一つとされています。そのため、このレースには特有のルールと特徴があります。参加者は、唯一の補給地点である月夜見山駐車場で水またはスポーツドリンク1.5Lを受け取ることができる他の外部からの補給は認められておらず、自分自身で全てを準備する必要があります。これにより参加者は、気候変動に対する対策や夜間走行の準備が必要となり、その自己管理能力が試されます。

毎年約2000人がこのレースに参加し、多くのランナーにとって目標となるイベントです。しかし、2022年大会からは環境負荷軽減策の一環として参加者数が20％削減され、規模が見直されています。

コースの詳細

ハセツネのコースは、奥多摩の山域を舞台にした71.5kmの長大なもので、スタート地点は五日市中学校です。主なルートには、今熊神社、市道山分岐、醍醐丸、生藤山、土俵岳などの名所が含まれます。競技には複数の関門が設定され、参加者は13時間から24時間の間に完走を目指します。

このコースは非常に過酷で、国際的なトレイルレースにおいても高難度とされるカテゴリALに分類されています。平均的なハイカーであれば約45時間かかるとされる距離を、競技者たちは制限時間内に走破しなければなりません。また、特別自然保護区を含むエリアでは、全選手が歩行することが求められ、特に環境への配慮がなされています。

過去の記録と参加者について

過去のコースレコードとしては、男子部門では上田瑠偉が2014年に記録した7時間1分13秒、女子部門では髙村貴子が2022年に達成した8時間41分49秒があります。連覇の記録もあり、髙村選手は2016年から2023年まで5連覇を達成しています。特に男子部門では杉山真之と石川弘樹が連続して勝利を収めたことでも知られています。

競技の魅力

ハセツネの特筆すべきは、コースが変更されないという点です。これにより参加者は、条件の変化にかかわらず、自己の走力を正確に評価することが可能です。さらに、給水点が1か所のみであるため、参加者は自身の準備能力が試されるのです。加えて、夜間の走行が必須であることもこのレースの魅力の一つとなっています。

意義と未来

ハセツネCUPは単なるレースだけでなく、参加者に試練と成⻑の場を提供する重要なイベントとして、トレイルランニングの文化やコミュニティを育んでいます。環境負荷軽減の取り組みやトレイルランニングの普及活動を通じて、2024年以降もより持続可能な形での開催が期待されています。この大会は、今後も多くのランナーにとっての挑戦の場であり続けることでしょう。

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