長谷川恒男

長谷川 恒男とは

長谷川恒男（はせがわ つねお、1947年12月8日 - 1991年10月10日）は、冬季における登山技術の革新をもたらした日本の著名な登山家です。彼は日本アルパインガイド協会の専務理事を務め、ウータンクラブを主宰するなど登山界に深く貢献しました。特に彼の冬期単独登攀は、その技術と勇気で国内外に名を馳せ、アルプス三大北壁を冬季に単独で制覇したことは世界初の快挙となりました。

生い立ちと登山の始まり

長谷川は神奈川県愛甲郡愛川町半原で生まれ、神奈川県立神奈川工業高等学校を卒業後、日本コロムビアに入社します。1963年に横浜市立岩崎中学校を卒業し、その後の登山には兄の影響があったと言われています。登山の魅力に取りつかれた彼は、1971年に日本アルパインガイド協会の公認ガイドとなり、本格的な登山に踏み出しました。

昭和の登山家としての軌跡

1973年、長谷川は第2次RCCエベレスト登山隊に参加しました。このとき、彼はサポート隊として活躍しましたが、誤解から隊内に不信感が生じ、その後の登山活動に対する影響を及ぼしました。その後も1974年には冬季未踏の谷川岳一ノ倉沢滝沢第2スラブを単独初登頂しました。

1977年、彼はマッターホルンの北壁を冬期に単独で登頂し、1981年にはアルパインガイド長谷川事務所を設立しました。このように彼は次々と新たな記録を打ち立て、登山界に多大な貢献をしました。さらに1982年には初のジュニア・アルピニスト・スクールを開催し、若い世代への登山教育にも力を入れました。

新たな挑戦と困難

1983年には結婚し、家族を持ちましたが、その後も挑戦は続きました。1984年から1988年にかけては、ナンガパルバットやチョモランマの北東稜など、さまざまな登山に挑戦しましたが、厳しい自然に見舞われることもありました。特に1985年のチョモランマでは雪崩により、1名が遭難する悲劇も経験しています。こうした事件は彼の心に深い傷を残しましたが、それでも彼は登山への情熱を失わず、1990年には未踏峰ウルタルII峰南西壁に挑むことになります。

運命の遭難

1991年、長谷川はウルタルII峰での登攀中に雪崩に巻き込まれ、星野清隆と共に悲運の最期を迎えました。43歳という若さでの死は、多くの登山界の仲間やファンに衝撃をもたらしました。彼の遺体はフンザ渓谷内のベースキャンプ近くに埋葬され、墓地が造営されました。彼の登山への情熱と精神は、現在でも多くの人々に受け継がれ続けています。

その後の評価と名跡

長谷川の功績を称え、1993年には東京都山岳連盟が「長谷川恒男カップ」として耐久レースを毎年開催することになりました。2011年には没後20年を記念して御岳山の長尾平に顕彰碑が建立され、今なお登山界の偉大な先駆者として記憶されています。さらに彼は数冊の著書を残しており、登山の魅力や哲学を後世に伝える役割も果たしています。彼の経験や教訓は、今後も多くの登山者にとって貴重な財産です。

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