バイオプラスチック

バイオプラスチックの概要

バイオプラスチックとは、再生可能な生物資源、つまりバイオマスを原料とするプラスチックの総称です。しかし、バイオマス由来であっても必ずしも生分解性があるわけではなく、生分解性のあるプラスチックがバイオマスから作られているとは限りません。このため、バイオプラスチックという用語は混乱を招くことがあります。

日本では、原料がバイオマスのプラスチックは「バイオマスプラスチック」、生分解性があるものは「生分解性プラスチック」と区別されています。海外においても、バイオマス由来のプラスチックは「bio-based plastic」と呼ばれ、明確な区分が求められています。

原料の種類

バイオマスプラスチックは、生物資源から作られ、主に二つの方法で製造されます。

• - 発酵法: トウモロコシやサトウキビなどのデンプンや糖を原料として、発酵過程を経てモノマーを合成し、ポリマーとしての形に重合させます。ポリ乳酸（PLA）やポリヒドロキシアルカノエート（PHA）がこのカテゴリーに含まれます。

• - 誘導体化法: 植物から抽出したセルロースなどの多糖を基に、その構造を保ちながら誘導体化し、熱可塑性を付与します。例えば、セルロースアセテートが挙げられます。

ちなみに、木や米、さらには生ゴミや牛乳からもバイオマスプラスチックを作成することができるとされています。

環境への影響

バイオマスプラスチックは、地上に存在する植物を原料としているため、理論的にはカーボンニュートラルの特性を持ちます。つまり、植物を育てる際に吸収した二酸化炭素は、バイオプラスチックを焼却した際に放出されるため、全体として二酸化炭素の増減に与える影響が少ないとされています。しかし、製造過程ではエネルギーが必要となるため、完璧なカーボンニュートラルではないとする意見もあります。焼却処理においては、従来のプラスチックに比べて低い燃焼熱を持ち、ダイオキシン類の発生も抑えられます。

多くのバイオマスプラスチックは生分解性を持ち、微生物によって水と二酸化炭素に分解され、循環利用が可能です。しかし、バイオマス由来であるからといってすべてが生分解性を有するわけではなく、耐久性のあるバイオPETやバイオPEは通常のプラスチックと同様の性質を持ち、生分解性はありません。これらは必ずしも生分解性と等しい意味を持たないため、注意が必要です。

課題と懸念

バイオプラスチックの導入にはいくつかの問題点も存在します。まず、バイオマスの原料として使われる作物が食料作物と競合する可能性があり、これによって食料価格が高騰する懸念があります。現在の食料生産量を2050年までに大幅に増加させる必要がある中で、食料供給を損なわない方法での原料確保が求められます。

さらに、バイオプラスチックに対する過剰な期待が「グリーンウォッシュ」として批判されることもあります。堆肥化インフラが整っていないため、適切な処理が行われずに海に流出した場合、マイクロプラスチックとなり、逆に海洋生物に悪影響を及ぼすことが指摘されています。

まとめ

バイオプラスチックは、その環境保護の特性が期待される一方で、使用と生産に際しての課題が多岐に渡ります。バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックの理解を深め、持続可能な製造プロセスが必要です。これにより、真の意味での環境保護に寄与できる期待が持てるでしょう。

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