ポリ乳酸

ポリ乳酸（PLA）とは？

ポリ乳酸（PLA）は、トウモロコシやサトウキビなどの植物を原料としたバイオプラスチックの一種です。乳酸という物質が多数結合してできた高分子化合物で、ポリエステルの一種に分類されます。PLAは、環境中に存在する水分によって加[[水分解]]し、微生物によって最終的に二酸化炭素と水に分解されるため、生分解性プラスチックとして注目されています。

PLAの種類

乳酸はL体とD体の2種類が存在し、それぞれを重合させたポリ-L-乳酸（PLLA）、ポリ-D-乳酸（PDLA）があります。PLLAとPDLAを混合したステレオコンプレックス型ポリ乳酸（SC-PLA）は、高い耐熱性を持ちます。また、D体とL体がランダムに結合したポリ-DL-乳酸（PDLLA）もありますが、結晶性が低いため、実用性は劣ります。

PLAの性質

生分解性: PLAは微生物によって分解されるため、環境への負荷が低いとされています。しかし、分解には適切な環境（堆肥など）が必要であり、通常の環境下では分解されにくく、一般の合成樹脂と同様に安定した状態を保ちます。そのため、土壌中や水中では数ヶ月から1年程度安定していますが、堆肥中では約1週間で分解されます。現在、PLAは農業用マルチシートやハウス用のフィルム、3Dプリンターのフィラメント、バイオBB弾など様々な用途に使用されていますが、廃棄時には適切な処理（堆肥化）がされていないのが現状であり、焼却処理されることが多いです。

カーボンニュートラル: PLAは植物由来の原料から作られるため、製造過程で排出される二酸化炭素は、原料植物が光合成で吸収した二酸化炭素と相殺されると考えられています。そのため、カーボンニュートラルな素材として注目されています。しかし、PLAの生産過程ではエネルギーが必要であり、そのエネルギー源が化石燃料である場合、完全なカーボンニュートラルとは言えません。また、ポリスチレンと比較して、排出される二酸化炭素量が多いとの指摘もあります。

近年では、食料生産と競合しない微生物を用いたPLA生産が研究されています。大林組とCO2資源化研究所は、水素細菌を用いて、再生可能エネルギーから製造した水素と二酸化炭素から乳酸を生合成し、PLAを生産する技術の開発を進めています。建設業界はPLAの大きな需要元であり、この技術により、食料と競合することなく、脱石油化を目指しています。

PLAの合成方法

PLAの合成方法は主に2種類あります。

1. [ラクチド]]法: 乳酸を加熱脱水重合して得られる低分子量のポリ乳酸（オリゴマー）を、さらに減圧下で加熱分解し、乳酸の環状二量体であるラクチドを得ます。このラクチドを金属塩触媒存在下で重合させることでPLAが得られます。オクタン酸[[スズ]がよく用いられます。

2. 直接重合: 乳酸を溶媒中で減圧下加熱し、水を取り除きながら重合させることで、直接PLAを得る方法です。溶融法なども研究されています。

まとめ

PLAは生分解性とカーボンニュートラルな特性を持つバイオプラスチックとして注目されていますが、環境への影響を評価する際には、製造工程や廃棄方法も含めたライフサイクル全体を考慮する必要があります。今後の研究開発により、より環境負荷の少ないPLAの生産と利用が期待されます。

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