はちのこ

はちのこ（蜂の子）

はちのことは、クロスズメバチなどの蜂の幼虫を指し、日本国内外で食材として用いられています。特に長野県や岐阜県をはじめ、愛知県や静岡県などの山間部での食習慣が根付いており、古代から貴重な蛋白源とされてきました。近年は高級珍味としても注目されており、缶詰や瓶詰として販売されています。

歴史と文化

日本のみならず、アフリカやアジア、南アメリカ、オーストラリアでも食用とされるはちのこ。古代中国の『神農本草経』では蜂子（ほうし）として記録され、最高級の薬とみなされていました。また、明の時代に成立した『本草綱目』にもその効能が記載されています。心腹の痛みや皮膚感染症に良いとされ、長い歴史を持つ珍味であることが分かります。

はちのこの捕獲方法

クロスズメバチは地中に巣を作るため、捕獲するための独特な方法が存在します。長野県では「蜂追い」と呼ばれ、昔は子供たちの遊びとして行われ、今では大人たちが楽しむ伝統的な活動になっています。この際には、ハチの移動経路を注意深く観察し、エサを運ぶハチを追跡する方法が一般的です。

追跡技術

ハチをおびき寄せるために、カエルの肉や魚、昆虫を使った生肉の綿を利用する方法が多く、これによって飛翔するハチを追いやすくしています。歩きながら空を飛ぶハチを見ながら追いかけるため、交通事故の危険や農地の踏み荒らしに注意が必要です。そのため、いくつかの地域では「蜂取り」を禁止しているところもあります。

巣の採取

巣が見つかると、煙幕花火を使ってハチが一時的に仮死状態になっている間に巣を掘り出します。この際、幼虫は膜を張った巣室の中にいるため、ピンセットを用いて丁寧に膜を剥がし取り出します。そうして採取された幼虫は、淡白な味わいで炒めると、鶏卵の卵焼きを思わせる味になると言われています。

調理法と食べ方

各地域に特有の調理法が存在し、岐阜県の東濃地方では「へぼ飯」として炊き込み御飯に利用され、甘露煮や佃煮の缶詰も販売されています。長野県では「すがら」と呼ばれ、佃煮や甘露煮が人気です。静岡市では「はえはちめし」という炊き込み御飯が伝統的です。

代表的な調理法

• - 甘露煮
• - 佃煮
• - 塩または醤油で炒る
• - 蒸し焼き（ミョウガの葉使用）
• - 炊き込み御飯（はちのこ御飯）
• - 蒸篭飯
• - 素揚げ
• - 生食

それぞれの地域で独自のスタイルで調理されるはちのこは、食文化の一部として根強く愛されています。その淡白な味わいと栄養価の高さから、今後も多くの人々に支持されることでしょう。

もう一度検索