バリカン

バリカンについて

バリカンは、理容業界に欠かせない器具であり、左右に往復する2枚の刃によって毛髪を効率的にカットします。最初は手動式のバリカンが一般的でしたが、技術の進歩により小型で軽量な電動式バリカンが登場し、現在では広く普及しています。

バリカンの歴史

バリカンの原理は19世紀中期にセルビア出身のニコラ・ビズミックによって考案されました。その後、アメリカの自動車メーカー、ヘンリー・リーランドによって実際の理容用バリカンが発明され、その形と機能が確立されました。1910年代には、電気を利用したバリカンの開発が本格化し、1914年には芝山兼太郎が日本に電気バリカンを紹介しました。1919年には、アメリカのウォール・クリッパー社が電磁式バリカンの特許を取得して製造・販売を開始し、その後急速に普及していきました。

日本での普及

日本では、1871年の散髪脱刀令によって、従来の髷から自由な髪型が認められました。徴兵令の公布により、入営する兵士たちの頭髪は衛生上の理由で丸刈りにされ、このことがバリカンの普及を助けました。明治中期からは、両手式のトンドルが導入され、さらにフランスからのバリカンが利用されるようになりました。1890年代には、大阪や東京で国産のバリカンが開発され、特に1900年代初頭までは手動式のバリカンが広く使用されましたが、その後は電動バリカンの登場により手動バリカンの製造は減少しました。

業務用と家庭用の違い

バリカンは、主に髪の毛を短くするために使用されていましたが、2014年以降のデザインカットの手法の影響もあり、その使用方法は多岐にわたるようになりました。業務用と家庭用の違いは少なくなり、アタッチメントを使用することで希望する長さに設定できる機能が両者に備わっています。家庭用のバリカンは家電量販店やホームセンターで容易に手に入れることができ、剃刀の使用ができない美容所でも髪を刈り取るために利用されています。

バリカンの語源

バリカンの名称は、英語では「Hair clipper」、フランス語では「Tondeuse」と表現されます。日本における「バリカン」の語源は、長い間不明でしたが、金田一京助の調査によってフランスのバリカン・エ・マール製作所が発祥であることが確認されました。仕上げの工程で使用される「芝生バリカン」のように、バリカンという言葉は刈取用の器具全般を指すようにもなっています。

ペット用のバリカン

家庭用のみならず、ペットのトリミングにも使用されるバリカンが存在します。ペット専用のバリカンは、ペット用品店などで販売されており、飼い主にとって便利なアイテムとなっています。

バリカンは、技術の発展とともに進化しており、今後も新たな機能やデザインが期待されています。

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