パルミジャーノ・レッジャーノ

パルミジャーノ・レッジャーノ：イタリアチーズの王様

パルミジャーノ・レッジャーノは、イタリアを代表する高級ハードチーズとして知られています。「イタリアチーズの王様」とも称されるその味わいは、世界中の食通を魅了しています。その名前は、パルマとレッジョ・エミリアという地名に由来し、エミリア・ロマーニャ州とロンバルディア州の一部でしか生産が許されていません。

厳格なDOP認定

パルミジャーノ・レッジャーノを名乗るには、特定の地域で、厳格なDOP（原産地名称保護）基準を満たす必要があります。認定を受けたチーズだけが、側面に刻印を押されることができ、本物の証となります。認定されなかったチーズには、×印が押されます。このDOP制度によって、パルミジャーノ・レッジャーノの品質と伝統が守られています。

複雑な製造工程

パルミジャーノ・レッジャーノの製造工程は、非常に複雑で、熟練の技術が必要です。前日に搾った牛乳と当日の牛乳を混ぜ合わせ、乳脂肪分を取り除いてから製造を開始。一日一回だけの製造という、時間と手間をかけた製法が、このチーズの卓越した風味を生み出しています。

水分を徹底的に除去し、18ヶ月から36ヶ月、場合によっては5年以上もの間、熟成させます。この長い熟成期間によって、チーズは超硬質になり、アミノ酸が結晶化して特徴的な白い斑点ができるのです。

その製造過程で生まれる副産物も無駄なく利用されます。乳脂肪分はマスカルポーネなどのチーズの原料に、乳清はプロシュット・ディ・パルマの豚の飼料として活用されています。

多様な楽しみ方

パルミジャーノ・レッジャーノは、その濃厚な風味から、様々な料理に用いられます。最も一般的なのは、すりおろしてパスタにかける方法です。シンプルなパスタに、このチーズを加えるだけで、格段に美味しくなります。また、塊のままバルサミコ酢に浸していただく方法も人気で、チーズ本来の風味を存分に味わうことができます。

グラナ・パダーノとの違い

ポー川流域では、パルミジャーノ・レッジャーノとよく似た製法のグラナ・パダーノも生産されています。どちらも「グラーナ」と呼ばれるチーズの仲間ですが、パルミジャーノ・レッジャーノは、より狭い地域で生産される、より希少価値の高いチーズです。

経済的な側面

30キログラム以上にもなる大きな塊で生産されるパルミジャーノ・レッジャーノは、高価です。また、熟成に最低1年以上かかるため、すぐに収入にはなりません。そのため、イタリアの一部の銀行は、熟成前のパルミジャーノ・レッジャーノを担保として受け入れ、生産者にローンを提供するユニークな金融サービスを提供しています。これらの銀行は、熟成庫を所有していることが多く、チーズの熟成を管理しています。

パルメザンチーズ：パルミジャーノ・レッジャーノとの違い

日本で「パルメザンチーズ」と呼ばれるものは、多くがパルミジャーノ・レッジャーノを模倣したものであり、必ずしも本物のパルミジャーノ・レッジャーノではありません。この名称は、フランス語と英語の名称を組み合わせたもので、「パルミジャーノ・レッジャーノ風のチーズ」という意味合いを持ちます。

アメリカ経由で粉チーズとして日本に輸入されたため、日本でパルメザンチーズは粉チーズの総称として使われるようになり、ナポリタンやミートソーススパゲッティなどの定番メニューのトッピングとして広く普及しています。

アメリカや日本、アルゼンチンなどでも生産されていますが、熟成期間が短く、風味もパルミジャーノ・レッジャーノには及びません。しかしながら、価格が安価であることから、広く利用されています。欧州連合内では、DOP規格に合致しないため「パルメザンチーズ」の名称の使用は禁止されており、別の名称で販売されています。

2019年の日本・EU経済連携協定では、「パルミジャーノ・レッジャーノ」の地理的表示が保護されていますが、「パルメザンチーズ」という名称は例外的に使用が認められています。

まとめ

パルミジャーノ・レッジャーノは、その厳格な品質管理、複雑な製造工程、そして比類のない風味から、「イタリアチーズの王様」の名にふさわしいチーズです。一方、日本で広く知られる「パルメザンチーズ」は、必ずしもパルミジャーノ・レッジャーノを指すとは限らない点に注意が必要です。本物のパルミジャーノ・レッジャーノの風味を味わいたい方は、DOP認定を受けたものを選ぶようにしましょう。

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