ヒ87船団

ヒ87船団の概要

ヒ87船団（ヒ87せんだん）は、1944年12月から1945年1月にかけて門司からシンガポールへ航行した護送船団であり、主に貴重な大型タンカーを中心に編成されていました。この船団は、当時日本が占領下においているオランダ領東インドから石油を輸送するために重要な役割を担っていました。しかし、アメリカ海軍による空襲や潜水艦の攻撃により、船団は悲惨な状況に陥りました。

背景

太平洋戦争の後半、日本は石油を確保するため、シンガポールと門司の間でヒ船団と称される高速タンカー船団を運航していました。ヒ87船団は、そのうちの一つであり、船団名は通算87番目の船団を示しています。この時期、日本海軍は潜水艦に対抗するため、大規模な護送船団を編成する「大船団主義」を採用しており、ヒ87船団もその方針に基づいて編成されました。

ヒ87船団は、6隻の1万トン級の大型タンカーを中心に構成され、護衛部隊は第一護衛艦隊に属する海防艦や駆逐艦が担当しました。この強力な布陣にもかかわらず、アメリカ海軍の攻撃に対して十分に対抗できるほどの防御力はありませんでした。

航海の経過

ヒ87船団は1944年12月30日に門司を出港し、高雄へと向かいました。出港直後に機関の故障が複数発生し、船団の一部が脱落するなど困難な航行が続きました。1945年1月3日、アメリカ海軍による空襲が始まり、船団は危機に見舞われました。1月5日には航海を再開しましたが、アメリカの潜水艦の襲撃を受け、複数の輸送船が攻撃されました。特に1月7日、潜水艦の攻撃によりタンカーの一隻が損傷し、船団から脱落しました。

その後も、船団は潜水艦の攻撃やアメリカ海軍の空襲にさらされ、1月9日には高雄港で大きな損害を受ける結果となりました。タンカーが沈没し、護衛艦も被害を受け、多くの犠牲者が出ました。

最終段階

高雄での編成替えを経て、ヒ87船団は再び出発し、香港を経由してシンガポールを目指す航路を選択しました。しかし、香港に到着するやいなや、アメリカによる空襲が再開され、船団の被害はさらに拡大しました。結果的に、ヒ87船団は多くの船舶を失い、シンガポールに到着したのはわずかに2隻のみでした。

結果と影響

ヒ87船団は、大規模船団としての運航にもかかわらず、最終的には壊滅的な結果を招きました。この失敗は、日本の護送船団戦術に大きな転機をもたらしました。以降、日本海軍は小規模船団方式に転換し、分散輸送を行うことで、被害を最小限に抑える方針へと移行しました。ヒ87船団は、戦争の終息に向けての教訓として、その詳細な歴史が今に伝えられています。

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