ヒ船団

ヒ船団とその運航の歴史

概要

ヒ船団（ヒせんだん）またはヒ号船団（ヒごうせんだん）は、大東亜戦争において日本がシンガポールと本土間で運航した輸送船団です。この船団は、日本占領下にあったオランダ領東インドの石油を日本へ運ぶことを主な目的としていました。特に、大型の高速タンカーが中心となり、同時にフィリピンへの軍隊輸送も行っていました。戦略的重要性から優先的に護衛がされましたが、アメリカ海軍の潜水艦や航空機からの攻撃により多くの被害を被り、1945年3月に運航が停止されました。

ヒ船団の運航と背景

ヒ船団の復路はシンガポールから日本本土へ向かい、石油やボーキサイトといった重要資源を運搬していました。これらの資源は日本の戦争経済にとって非常に重要であり、したがって優れたタンカーや高速貨物船が優先的に配船されました。また、護衛には航空母艦や巡洋艦、新型の海防艦まで投入されたものの、アメリカの潜水艦による攻撃に対しては脆弱でした。

船団名の由来と運航体系

ヒ船団という名称の由来には諸説あり、フィリピンの頭文字や「日の丸」に由来するという説もあります。船団名は、往路の便には奇数の番号、復路の便には偶数の番号が割り当てられました。例えば、往路の第1便がヒ01船団、復路の第1便はヒ02船団となります。番号はヒ01からヒ99まで使われましたが、最終的に実際に運航されたのはヒ03船団まででした。

戦時石油事情

大東亜戦争当時、日本は大量の石油を必要としており、特に艦船や航空機の燃料として不可欠でした。国内の油田や人造石油の生産だけでは不足しており、占領地からの輸送が重要視されました。1943年度には360万トンの石油輸入が計画されていましたが、実際の輸入量は185万トンに留まっていました。

沿革

当初、日本海軍は具体的な対策を持っておらず、無護衛の船団が多く存在しました。しかし、1943年に海軍は石油輸送専門の高速護送船団を設立し、これをヒ船団と名付けました。この船団はシンガポールと門司を直接結ぶ航路とされましたが、護衛体制は常に脆弱で、多くの船団がアメリカ海軍の攻撃にさらされました。

大船団主義の採用

1944年からは、大船団主義が採用され、船団規模が拡大されました。この運用方針では、護衛艦艇を集中させるために船団の規模を大きくしました。同年4月からは、船団が速さによって再編成され、輸送船と護衛艦の数が拡大されていきました。その中で、最大で17隻の輸送艦と10隻の護衛艦からなる大規模な船団も編成されました。

終焉

しかし、大船団主義を採用したにもかかわらず、アメリカ海軍の攻撃は激化しました。1945年には、ヒ船団の規模を縮小し、被害を最小限に抑える方向へと進みましたが、それでも被害は続きました。最終的に、連合軍の上陸が迫る中でヒ船団の運航が停止され、資源の輸送も途絶えました。その結果、日本の南方占領地からの資源輸送は事実上終了を迎えました。

主なヒ船団の例

• - ヒ30船団
• - ヒ40船団
• - ヒ71船団
• - ヒ86船団

これらの船団は、日本の戦争の在り方や資源の供給体制に大きな影響を与えました。ヒ船団の存在とその歴史は、日本の戦争の資源戦略を考える上で欠かせない重要な要素となっています。

もう一度検索