ヒューマンライツ・ナウ

ヒューマンライツ・ナウ（Human Rights Now）とは

ヒューマンライツ・ナウ（HRN）は、日本を拠点とする人権に関する非政府組織（NGO）であり、特定非営利活動法人（NPO）として活動しています。国際連合経済社会理事会特別協議資格を持つ、国際的な人権NGOです。本部を東京都に置き、東京の他、ニューヨーク、大阪、ジュネーブ、ヤンゴンにも拠点を構えています。

組織概要

理事長: 新倉修（青山学院大学名誉教授）
副理事長: 伊藤和子（弁護士）
事務局長: 小川隆太郎（弁護士）

法律家、研究者、ジャーナリスト、市民など人権分野の専門家が中心となり、2006年に設立されました。主な活動は、事実調査、政策提言、エンパワメント事業の三つです。

主な活動分野

女性の権利
ビジネスと人権
子ども・少女の権利
武力紛争と人権・重大な人権侵害
人権活動家・表現の自由
経済的・社会的権利

エンパワメント支援として、ミャンマーの法律学校で人権教育支援も行っています。

沿革

2006年: 団体設立。伊藤和子弁護士が事務局長に就任。
2007年: フィリピンのNGOからの依頼で、人権活動家への攻撃に関する調査を実施。タイ・ビルマ国境付近のメイソットに設立された法律学校「ピースローアカデミー」への支援を開始。
2009年: インド北東部のメガラヤ州における児童労働についての事実調査を実施。
2012年: 国際連合との協議資格を取得。
2013年: 従軍慰安婦問題に関し、日本政府の姿勢について国際社会の流れに反するとして是正を求める声明を国際連合人権理事会で発表。
2014年: 認定NPO法人に認定（所轄庁：東京）。
2015年: ユニクロの下請け工場の労働環境調査結果を公表。
2016年: アダルトビデオ出演強要に関する調査報告書を公表。性犯罪厳罰化への刑法改正を求める団体と合同集会を開催。
2020年: 新型コロナウイルス感染症への対応に関し、人権保障を求める声明を発表。DV被害者支援や在留資格のない人々に関する声明も発表。国連事務総長による新型コロナウイルスと人権に関する報告書の和訳を公表。

杉田水脈議員による批判とそれに対する反論

自民党衆議院議員の杉田水脈氏は、2018年の国会でヒューマンライツ・ナウに対し、以下の批判を行いました。

1. 「日本軍が慰安婦を性奴隷として捏造し、国連を通じて世界にばらまいている」と主張。
2. AV強要に関する相談件数が少ないにもかかわらず、政府が予算を付けて防止月間を実施していることへの疑問を提起。

これに対し、ヒューマンライツ・ナウは以下の反論を行いました。

1. 慰安婦問題に関する見解は、河野談話、アジア女性基金の記録、国連人権機関の勧告に基づいている。民間の活動を「捏造」「反日」と批判するのは、国民の正当な言論活動を萎縮させる危険性がある。
2. AV出演強要被害に関する相談件数が少ないのは、被害者が声を上げにくい状況にあることや、公的機関の対応が始まったばかりであることを考慮すべきである。

ヒューマンライツ・ナウは、衆議院に対して抗議文を提出し、杉田議員の発言を議事録から削除するよう求めました。しかし、自民党と衆議院事務局は、この要求に対して明確な対応を示しませんでした。

その後、立憲民主党の大河原雅子議員が、国会でヒューマンライツ・ナウの活動を支持し、杉田議員の批判を非難しました。また、国連人権高等弁務官事務所は、ヒューマンライツ・ナウが国連との協力を理由に標的にされていると報告しています。

杉田議員は、ヒューマンライツ・ナウが「性奴隷」という表現を使用していることについても、日本政府の見解と異なると再反論しました。また、国連人権機関の勧告は、民間NGOの意見を参考に作成されることがあり、必ずしも政府の公式見解を反映しているわけではないと主張しました。

杉田議員による追加の批判

杉田議員は、ヒューマンライツ・ナウが、慰安婦問題を日本による性奴隷制度として海外に喧伝しているとも批判しました。具体的には、以下の点を指摘しました。

1. ニューヨークでの国連女性の地位委員会パラレルイベントで慰安婦問題を取り上げたこと。
2. 女性国際戦犯法廷に検事として参加した人物が理事長を務めていること。
3. 日本軍性奴隷制問題解決のためのイベントを開催し、韓国の元慰安婦を招いたこと。

これらの活動が、慰安婦の強制連行という思想を国内外に広める行為であると批判しました。

その他の批判

公益財団法人モラロジー道徳教育財団の研究員は、一部の活動家やNGOが国連特別報告者の偏った情報源になっていると批判しました。また、ヒューマンライツ・ナウの会見に、社民党の福島瑞穂議員の内縁の夫である弁護士が解説役として参加したことも、批判の対象となりました。

まとめ

ヒューマンライツ・ナウは、人権問題に関する調査、提言、エンパワメント事業を通じて、国内外で活発な活動を展開しています。しかし、その活動に対して、政治家や一部団体から批判を受けることもあります。これらの批判に対するヒューマンライツ・ナウの反論と、背景にある複雑な問題について理解を深めることが重要です。

外部リンク

認定NPOヒューマンライツ・ナウ
ヒューマンライツ・ナウ (HumanRightsNow) - Facebook
* ヒューマンライツ・ナウ (@hrn_friends) - X（旧Twitter）

もう一度検索