ピンクカメハメハ

ピンクカメハメハ：短くも華麗な競走生活と悲劇の死

2018年4月12日生まれの競走馬、ピンクカメハメハ。その名は、美しい桃色の毛色と、父方の血統に由来しています。2021年サウジダービーという栄光を掴んだ一方、わずか3歳で競走中に急死するという悲劇に見舞われた生涯は、多くの関係者に深い悲しみと記憶を残しました。

誕生からデビューまで

ピンクカメハメハは、数々のGIレースを制した名牝スイープトウショウを母に持つサラブレッドです。しかし、母の年齢は驚きの25歳。スイープトウショウと17歳差という、高齢出産の仔でした。父リオンディーズも5歳と若く、父母は20歳という年の差カップルでした。

デビューまでの道のりは決して順風満帆ではありませんでした。上場予定だったトレーニングセールが新型コロナウイルスの影響で中止となり、売れ残っていたところを、調教師の森秀行氏に購入されました。森氏は過去に、高齢出産の馬を敬遠した結果、のちの英ダービー馬を見逃した経験があり、馬の丈夫さこそ重要だと考えていました。そのため、ピンクカメハメハの購入を決断。デビューのわずか1ヶ月前の2020年6月、厩舎入りしました。

駆け抜けた競走生活とサウジダービー制覇

2020年7月、函館競馬場でのデビュー戦。武豊騎手を鞍上に迎え、3番人気で勝利をおさめます。その後、札幌2歳ステークスやサウジアラビアロイヤルカップなどに出走しますが、大きな勝ち星には恵まれませんでした。

2021年、運命の転機が訪れます。僚馬フランスゴデイナと共にサウジダービーへの招待を受けました。フランスゴデイナが出走不能になったため、ピンクカメハメハは単独での挑戦となりました。騎乗予定だったジョエル・ロサリオ騎手が他馬に乗り替わったため、戸崎圭太騎手が鞍上を務めました。

レースでは好位につけ、直線で力強く抜け出し、見事優勝を果たしました。前年のフルフラットに続き、2年連続で日本馬、そして森秀行厩舎所属馬がサウジダービーを制覇する快挙となりました。

続くUAEダービーでは10着と敗れましたが、サウジダービーでの勝利は、ピンクカメハメハの競走生活における最高峰の輝きとなりました。

突然の死と悲しみ

帰国後の6月20日、ユニコーンステークス競走中に悲劇が起こります。向正面で、ピンクカメハメハは急性心不全を発症。内によれてラチに激突し、その場で死亡しました。

この事故で、騎乗していた北村宏司騎手も落馬し、右足骨折の重傷を負いました。ピンクカメハメハの突然の死は、関係者のみならず、多くの競馬ファンに深い悲しみをもたらしました。

ピンクカメハメハの血統とその後

ピンクカメハメハの半姉には、GIレース3勝の名牝スイープトウショウがいます。その孫であるスウィープフィートは、2024年のチューリップ賞を制しています。ピンクカメハメハの血統は、今後も競馬界に貢献していく可能性を秘めています。

短い競走生活でしたが、ピンクカメハメハは、その輝かしい才能と、そしてその悲劇的な最期によって、多くの人々の記憶に深く刻み込まれた競走馬となりました。その名は、競馬史に永遠に記録されることでしょう。

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