ファントムシーフ

ファントムシーフ：怪盗の名を冠したサラブレッドの軌跡

2020年2月22日、谷川牧場にて誕生した競走馬、ファントムシーフ。その名は、母馬ルパンIIから連想された「怪盗」を意味します。期待を胸に秘め、競走馬としてのキャリアをスタートさせました。

始まりは母ルパンIIと谷川牧場の思惑

ファントムシーフの母、ルパンIIは2017年12月、イギリスのニューマーケットで行われたタタソールズ繁殖牝馬セールにて谷川牧場によって落札されました。谷川牧場社長の谷川貴英氏は、当初は別の馬の購入を検討していましたが、事情により予定を変更し、ルパンIIの購入に至ったのです。

当時、名馬生産において同じ母系同士のクロスが注目されており、ルパンIIの血統背景から、ケラリの4×4クロスを試す計画が持ち上がりました。そのため、ルパンIIにはハービンジャーを種付け、そしてファントムシーフが誕生したのです。この計画は、ファントムシーフの能力に大きな影響を与えたと考えられます。

2歳時の活躍：鮮やかなデビューと重賞挑戦

2022年6月18日、阪神競馬場での2歳新馬戦（芝1600m）でデビューを果たしたファントムシーフは、和田竜二騎手を鞍上に、1番人気に応え見事に勝利を収めました。続く9月24日の中京競馬場で行われた野路菊ステークスでは、福永祐一騎手に乗り替わり、2着馬に2馬身差をつける圧勝劇を演じました。

しかし、初の重賞挑戦となったホープフルステークスでは、4着に終わりました。福永騎手は、まだ成長過程にあるファントムシーフの体格や、レース中の落ち着きのなさなどを敗因として挙げました。このレースは、ファントムシーフの今後の成長を示唆する重要な一戦となりました。

3歳時：重賞初制覇と皐月賞挑戦

3歳初戦は、2023年2月12日東京競馬場で行われた共同通信杯でした。鞍上にはクリストフ・ルメール騎手を迎え、レースでは終始好位置をキープ。直線で抜け出し、重賞初制覇を飾りました。この勝利は、ファントムシーフの潜在能力の高さを改めて証明するものでした。

続く皐月賞では、単勝1番人気に支持されましたが、落鉄の影響もあり3着に終わりました。しかし、このレースでのルメール騎手の騎乗の様子はJRAによりYouTubeで公開され、多くのファンの注目を集めました。

血統と未来

ファントムシーフの血統背景には、数々の活躍馬が名を連ねています。半弟には2024年のアーリントンカップ勝ち馬ディスペランツァがおり、母系にはプリティーポリーステークス勝ち馬Promising Leadや、数々の国際的な競走で好成績を残した馬たちがいます。これらの血統は、ファントムシーフの能力の高さに繋がっていると言えるでしょう。

ファントムシーフの今後の活躍に、多くの期待が寄せられています。怪盗の名にふさわしく、さらなる勝利を掴むことができるのか、今後のレースに注目が集まります。

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