フェイスシールド

フェイスシールドとは

フェイスシールドは、個人防護具（PPE）の一つであり、飛来物や化学物質、感染性物質などから顔全体または一部を保護するための装置です。特に、産業現場や医療機関、法執行機関など、さまざまな環境で活躍しています。

産業用フェイスシールド

産業用のフェイスシールドは主に、作業中の危険から顔や目を防護するために設計されています。この場合、保護メガネやゴーグルと一緒に使用することで、より高い防護効果を得ることができます。

フェイスシールドの規格

フェイスシールドにはいくつかの規格があります。たとえば、\[ANSI（アメリカ規格）\]によるMark Z87規格は、直径25.4mmの鋼球を127cmの高さから落とした場合の衝撃に耐えうる性能を求めています。さらに高い衝撃に耐えるMark Z87+規格では、直径6.35mmの鋼球を300 ft/sの速度で当てられた場合にも耐えることが必要です。

同様に、\[EN 166（欧州規格）\]は、高速粒子からの保護を目的としており、指定された速度において鋼球の衝撃に耐える必要があります。そして、\[CSA（カナダ規格）\]では、フェイスシールドの性能をクラス6に分類し、衝撃や飛沫からの保護を要求しています。

原材料と製造方法

フェイスシールドは、主にポリカーボネート（PC）や酢酸セルロース（CA）などの素材から作られます。ポリカーボネートは高い耐衝撃性と光透過性を持ち、酢酸セルロースは良好な耐衝撃性と耐化学性を備えています。

製造方法としては、押出成形と射出成形の二つがあります。押出成形によるフェイスシールドは、高分子量のプラスチックから作られるため、優れた耐衝撃性能を持つことが特徴です。それに対し、射出成形は複雑な形状の製品を製造できるものの、厚さが必要となるため、耐衝撃性能が劣ります。

医療用フェイスシールド

医療現場では、フェイスシールドは主に心肺蘇生や外科手術などで医療従事者を感染性液体から守るために使用されます。例えば、CPRマスクは、直接的な血液や感染性の液体から顔を守る役割を果たしています。ただし、50ミクロン以下の微細な飛沫に対しては、その効果が薄いことが指摘されています。

警察・軍隊での使用

警察や軍隊においては、フェイスシールドが防弾や非防弾の用途で使用されます。防弾フェイスシールドは、爆風や破片から装着者を守るために特別に設計されています。一方、非防弾シールドは、低速の衝撃から顔を守るために構造がなされています。

建設現場での利用

建設現場においても、多くの労働者が飛沫や瓦礫から顔を保護するためにフェイスシールドを着用しています。特に、金属加工時にはこの防護具が推奨されており、保護帽にはフェイスシールドが一体となったものも多く販売されています。

まとめ

フェイスシールドは、医療、産業、法執行機関など多様な場面で活用されており、それぞれの用途に応じた設計がなされています。適切な使用法と規格の遵守が求められる重要な個人防護具です。

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