プレストシンボリ

プレストシンボリ：気性と才能の狭間を駆け抜けた競走馬の物語

プレストシンボリ(Prest Symboli)は、1992年3月6日に誕生した日本の競走馬である。その競走生活は、華々しい勝利と、才能を阻む気性との闘いの歴史だったと言えるだろう。

1995年1月、中山競馬場でデビューを迎えたプレストシンボリは、2戦目で初勝利を飾る。この勝利は、当時JRAの最多勝利記録保持者であった岡部幸雄騎手にとって、2017勝目を刻む歴史的な瞬間となった。その後も才能の片鱗を見せ、特別戦で2勝を挙げ、ニュージーランドトロフィー4歳ステークスでは2着と好成績を収める。そして迎えたラジオたんぱ賞では、1番人気に応え、見事な末脚で重賞初制覇を果たした。この勝利によって、岡部騎手のJRA重賞最多勝利数は114となり、当時の記録に並んだ。

しかし、プレストシンボリは気性面での課題を抱えていた。秋には2戦連続で大きく離される大敗を喫し、その気性からくる不安定さが露呈した。調教コメントには「この気性では、同世代相手ならともかく古馬相手では辛い」と、長期休養の必要性が示唆されている。

休養明け後は、巴賞で1勝を挙げるも、気性難からくる不安定な成績が続いた。1997年の中山金杯で11着に敗れた後、陣営は大きな決断を下す。プレストシンボリの去勢手術である。

去勢手術後、プレストシンボリの成績は安定したかに見えた。GI競走で入着を果たすなど、目覚ましい変化が見られた。しかし、勝利はオープン特別1勝に留まり、成績は頭打ち状態が続いた。その後、障害競走への転向を試みるも、2戦未勝利に終わり、2000年11月11日付で登録が抹消され、現役を引退した。

競走馬生活を終えたプレストシンボリは、第二の人生として乗馬となった。2012年には乗馬からも引退し、千葉県千葉市のASANO HORSE LIFE-ingで功労馬繋養展示事業の助成対象となった。その後、2017年には茨城県牛久市の一般社団法人ヒポトピアへと移動している。そして、2022年10月7日、30歳でその生涯を終えた。

プレストシンボリの競走生活は、才能と気性という相反する要素のせめぎ合いの中で展開された。華々しい勝利と苦い敗北、そして安定と不安定さ。その生涯は、競走馬の宿命と、それを支える人々の努力を象徴する物語と言えるだろう。岡部騎手とのタッグ、去勢手術という決断、そして引退後の穏やかな日々。プレストシンボリは、多くのドラマを残して静かにその生涯を閉じたのだ。彼の輝かしい功績と、その生涯は、競馬史に深く刻み込まれるだろう。

主な勝ち鞍:
ラジオたんぱ賞(1995年)

血統表:
(本文には記載せず、別途記載)

競走成績詳細:
(netkeiba.com、JBISサーチ等を参照)*

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