ヘーゼルナッツ

ヘーゼルナッツは、カバノキ科ハシバミ属に属する落葉低木の果実で、その独特の風味と栄養価から世界中で愛されています。ドングリに似た外見をしていますが、種類は全く異なり、ブナ科ではなくカバノキ科に分類されます。その大きさはドングリよりも大きく、食用ナッツとして広く流通しています。

栽培と種類

現在、世界的に栽培されているヘーゼルナッツの多くはセイヨウハシバミ（Corylus avellana）です。コモンヘーゼルとも呼ばれるこの品種は、中央アジアで盛んに栽培されており、特にトルコは主要な生産国で、日本に輸入されるヘーゼルナッツの95％を占めています。イタリアや日本の長野県などでも栽培が行われています。セイヨウハシバミは苗木を植えてから約3年で実をつけ始め、10年ほどで成木となります。自然落下した実を収穫するだけでよく、病気にも強いことから、栽培の手間は比較的少ないと言えます。一部のヘーゼルナッツは、セイヨウハシバミとムラサキセイヨウハシバミ（Corylus maxima、フィルバート）の交配種でもあります。

歴史

セイヨウハシバミは、小さくても強い植物です。氷河期が終わった後、ヨーロッパ北部への分布を最初に拡大した低木の一つでした。紀元前7万5000年から紀元前5500年の泥炭層からは、セイヨウハシバミの花粉が他の植物の花粉をはるかに上回る数で発見されており、その当時の分布の広さを示しています。

食用としての利用

ヘーゼルナッツは、お菓子作りに最も多く使用されています。種皮を取り除き、煎ってそのまま食べる他、クッキー、チョコレート、アイスクリームなどの材料として広く用いられています。特にチョコレートとの相性は抜群で、代表的なチョコレート菓子であるジャンドゥーヤにもヘーゼルナッツが使われています。また、欧米で人気のスプレッドであるヌテラも、ヘーゼルナッツペーストを主原料としています。カラメル化して砕いたヘーゼルナッツはプラリネと呼ばれ、ナッツを使った菓子の中でも特に洗練されたものとして知られています。さらに、ヘーゼルナッツはリキュールにも加工され、コーヒーの風味付けにも利用され、ヘーゼルナッツコーヒーとして親しまれています。その独特の香りは、フィルベルトン（5-メチル-2-ヘプテン-4-オン）という成分によるものです。

ヘーゼルナッツは、一般的なナッツ類の中でも特に葉酸を豊富に含んでいるのも特徴です。セイヨウハシバミ以外にも、ハシバミやツノハシバミといった同属のナッツが、中国や日本などでも食用とされています。しかし、これらの消費量は、セイヨウハシバミに比べると非常に少ないです。中国では年間2.5万トン以上が消費されていますが、それでもセイヨウハシバミの知名度と消費量に比べると小さな数字です。

文化的側面

漢字では、ハシバミ属の果実全般を「榛実」と表記します。日本語と中国語で表記はほぼ同じです（ただし、簡体字では「榛实」、繁体字では「榛實」）。中国語では、食用となる部分を「榛子」と呼ぶ方が一般的です。しかし、ハシバミ、ツノハシバミ、セイヨウハシバミなど、種類によって異なる呼び方もあるかもしれません。片仮名では、フィルビアード、ウィッチエール、ハルスなどの別名も存在します。

ヘーゼルナッツの色、特にセイヨウハシバミの実の色は「ヘーゼル」と呼ばれ、日本語では「榛色（はしばみいろ）」と訳されます。英語圏では、淡褐色の虹彩を表す言葉としても使われています。

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