ペルテス病

ペルテス病：子どもを襲う股関節の病気

ペルテス病は、股関節の大腿骨骨頭（太ももの骨のボール状の部分）の軟骨に変化が起こる病気です。主に5歳から8歳の子どもに発症することが多く、成長期に発病すると、骨の変形や成長障害を引き起こす可能性があります。完治までには長い時間を要し、原因も完全に解明されていないため、難病として認識されていますが、日本では難病指定はされていません。

ペルテス病の症状

ペルテス病の主な症状は、股関節や太ももの痛み、そして足を引きずる（びっこ）ことです。痛みは運動後や歩行時に強まります。また、太ももの筋肉が痩せたり、足を広げにくくなったり、股関節の可動域が狭くなるなどの症状も現れます。初期症状は筋肉痛と間違われやすい点に注意が必要です。

ペルテス病の原因

ペルテス病の原因は、大腿骨骨頭への血流障害であると考えられています。何らかの原因で血流が途絶えると、骨組織が壊死し、骨が弱くなります。その結果、骨頭が変形したり、最悪の場合、骨頭が消失して歩行困難になる可能性があります。しかし、なぜ血流障害が起こるのか、その根本的な原因はまだ解明されていません。遺伝的要因や外傷などが関連している可能性も示唆されていますが、明確な結論は得られていません。

ペルテス病の検査方法

ペルテス病の診断には、以下の検査が用いられます。

超音波検査: 関節の腫れや骨頭の変化を調べます。
X線検査: 骨頭の壊死を検出します。側面像の撮影が重要です。
MRI: X線検査で異常が疑われる場合に、壊死部分をより詳細に確認するために用います。MRIは壊死の診断に高い精度を示します。
視診・触診: 歩行時の様子を観察し、股関節の可動域を確認します。足を引きずったり、足を胸に近づけにくかったりする場合は、ペルテス病の可能性が示唆されます。

ペルテス病の治療法

ペルテス病の治療には、大きく分けて以下の2つの方法があります。

1. 装具による治療: 股関節を固定する装具を装着することで、骨頭の変形を防ぎます。装具は着脱が容易で、早期の歩行が可能になるというメリットがありますが、足の動きに制限が生じるというデメリットもあります。また、完治まで長期間を要し、臼蓋形成不全（臼蓋が浅くなる状態）を引き起こす可能性もあります。
2. 手術による治療: 骨頭を臼蓋（股関節の受け皿）にしっかりと包み込む手術を行います。装具療法に比べて、社会復帰が早いというメリットがありますが、約2ヶ月の入院が必要となること、手術痕が残るなどのデメリットもあります。

どちらの治療法を選択するかは、患者の年齢、症状の重症度、骨頭の変形度などを考慮し、医師と十分に相談して決定する必要があります。治療期間中は、患者の生活をサポートする体制も重要です。

ペルテス病と生活

ペルテス病は、子どもにとって大きな負担となる病気です。治療期間中は、痛みや運動制限によって日常生活に支障をきたすことがあり、子どもたちの精神的なケアも重要です。治療後も、定期的な通院や経過観察が必要となる場合があり、長期的な視点でのサポートが不可欠です。家族や医療関係者、学校関係者など、周囲の理解と協力を得ながら、子どもたちが健やかに成長できるよう、支援していくことが大切です。

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