ボディス

ボディスの歴史と特性

ボディス（bodice）とは、15世紀の西ヨーロッパに登場した女性用の衣服であり、体にフィットするデザインが特徴的です。この衣類は腰の上までの長さで、特に女性の体型を強調するために作られています。一般的に、ボディスは二つに分かれた前見頃を持ち、リボンや紐で締め付けて体にぴったりと合うように着用されます。特に、ドレスのスカート部分とは別に仕立てられることが多く、一緒に装着するスタイルが一般的です。

ボディスの起源と発展

中世初期から近世初頭まで、西ヨーロッパの女性たちは、ワンピース型衣装を好んで着ていました。初期の衣装は縫製技術の限界から、全体的にゆったりとしたものでした。しかし、イタリアの騎士が着るピッタリとした服装に影響を受けて、女性たちも体にフィットするドレスを求めるようになりました。このようなタイトなドレスは「コタルディ」と呼ばれ、上半身は体型を際立たせつつ、下半身は広がりを持つ形が主流になっていきました。

15世紀後半には、貴族の女性たちの間で毛皮を使ったおしゃれな室内着が流行し、これがボディスの原型となります。この毛皮のベストは、腰丈で袖が無く、体のラインを美しく見せるものでした。16世紀に入ると、衣装の上部は独立した袖なしの胴衣、すなわちボディスの形で変化し、スカートはその内側に装着される形に変わりました。この当時のボディスは前部が閉じていたものの、次第にV字型の深い切れ込みが入るようになり、胸部の開きをふさぐための布、ピエース・デストマが内部に取り付けられるようになりました。

17世紀後半には、ボディス自体に芯材が組み込まれ、コルセットと一体化した「コール・ピケ」が登場しました。この変化によって、ボディスはさらに体を美しく見せるための機能性を強化しました。そして、18世紀になると、前面が完全に開いたワンピーススタイルが主流となり、スカートとの融合が進みました。このスタイルは、ボディスとスカートが一体化したものとも言えます。その後、同世紀の末には、古代ギリシャを想起させるワンピース型のドレスが再び注目を浴びることになります。

19世紀に入ると、再度ボディスとスカートが分かれたスタイルが流行し、ドレスのデザインは多様性を増していきました。ボディスは、その名残として現代の衣服にも影響を及ぼし続けており、特にヨーロッパの伝統的な民族衣装に見られることがよくあります。

現代におけるボディスの役割

現在、ボディスは多くの場合、文化やファッションの一部として認識されており、特に歴史的な衣装や特別なイベントで用いられています。袖なしで前がホックで留める形式のボディスは、クラシックな要素を持ちながらも現代のデザインに取り入れられていることがあります。このように、ボディスはその歴史を通じて、時代や文化に応じた変遷を遂げることで、今なお女性のファッションに重要な要素として存在し続けています。

もう一度検索