マクダル

マクダル（英語名 McDull、広東語名 麥兜 マク・ダウ）は、香港で生まれたアニメーション作品『春田花花幼稚園』シリーズの中心的なキャラクターです。この作品は、漫画家・麥家碧氏の絵と謝立文氏の原作による『マクマグ』シリーズから派生しており、主人公であるマクダルが通う架空の幼稚園の名前が作品タイトルにもなっています。愛らしい姿の豚の男の子として描かれるマクダルは、その素朴で人間味あふれる魅力により、香港をはじめとする中華圏で絶大な人気を博しています。日本では、この作品は『春田花花幼稚園 〜マクダルとマクマグ〜』のタイトルで紹介されることもあります。

『春田花花幼稚園』は、2001年に初めて劇場映画として公開され、香港で記録的な大ヒットを遂げました。この成功をきっかけに、マクダルとその仲間たちは一躍有名になり、多様なキャラクターグッズが展開されるようになります。また、香港や中国の広州などでは、大手ファストフードチェーン店であるマクドナルドやコンビニエンスストアのプロモーションキャンペーンに起用されるなど、広く商業的なアイコンとしても定着しています。日本においては、CS放送のカートゥーンネットワークでアニメシリーズの一部を視聴することができ、絵本やアニメのDVDなども販売されています。

主人公であるマクダルは、1988年7月、香港の九龍にある廣華医院で生まれました。男の子の豚で、母親は麥譚玉蓮（通称：麥太）、父親は幼くして亡くなった麥炳です。父親の姓である「麥」を持っていますが、アイルランド系のキャラクターではありません。彼はいとこであり、同じ春田花花幼稚園に通う同級生でもあるマクマグと共に、様々な日常の出来事を経験します。マクダルは、極めて単純で少しおっちょこちょいなところがありますが、常に楽観的で争い事を好まない穏やかな性格の持ち主です。将来の夢は、オリンピックで金メダルを獲得することや、美しいリゾート地として知られるモルディブへの旅行を楽しむことです。食べ物の好みとしては、特に鶏の腿肉が大好物ですが、野菜は苦手です。ペットとして、ウンバナナ（Umbanana）という名前の金魚を飼っています。

マクダルを主人公とした劇場映画は、これまでに複数制作されています。これらの作品は、彼の成長や冒険を描き、香港アニメーションの代表例として知られています。以下に主な劇場作品を挙げます。

『麥兜故事 (My life as McDull)』 (2001年): シリーズ最初の劇場作品。日本では『マクダルのお話〜マイ・ライフ・アズ・マクダル〜』として2014年にDVDが発売されたほか、2002年の東京国際映画祭でも「マクダルの話」として上映されました。
『麥兜菠蘿油王子 (McDull, Prince de la Bun)』 (2004年): 日本では『マクダル パイナップルパン王子』として2006年3月に劇場公開。同年、東京国際映画祭でも上映されました。
『春田花花同學會 (McDull, The Alumni)』 (2006年): 日本未公開。
『麥兜響噹噹 (McDull, Kung Fu Kindergarten)』 (2009年): 日本では『マクダルのカンフーようちえん』として2012年8月に公開されました。
『麥兜噹噹伴我心 (McDull, The Pork of Music)』 (2012年): 日本未公開。
『麥兜我和我媽媽 (McDull: Me & My Mum)』 (2014年): 日本未公開。
* 『麥兜·飯寶奇兵 (McDull: Rise of the Rice Cooker)』 (2016年): 日本未公開。

マクダルは、単なる子供向けアニメのキャラクターに留まらず、香港社会の日常や庶民的な感覚を反映した存在として、幅広い世代から支持を得ています。その純粋さと困難に立ち向かう姿勢は、多くの人々に共感を呼び、現代香港文化における重要なアイコンの一つとなっています。

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