マドラー

マドラーは、カクテルをはじめとする飲み物を撹拌するための棒状の器具です。英語の「muddler」からの借用と考えられますが、本来英語のmuddlerは、カクテルに使うハーブや果実を潰すための小型のすりこぎ状の道具を指します。日本語ではペストル、またはマッシャーと呼ぶのが適切です。

カクテルは、時にグラスの中で複数の層を形成したり、氷が溶け出すことで時間の経過とともに味が変化したりします。マドラーは、これらの要素を均一に混ぜ合わせ、アルコール濃度を調整し、最適な味を保つために用いられます。多くの場合、カクテルを提供する際に、お客様に提供されます。

素材としては、金属製やプラスチック製が一般的です。ただし、温かいカクテル（ホットカクテル）には、耐熱性の問題からプラスチック製のマドラーは適しません。また、シナモンスティックやセロリの茎をマドラーの代用として使用するユニークな例もあります。

類似の道具として、以下のものが挙げられます。

スウィズルスティック: 飲み物をかき混ぜる棒全般を指し、日本のマドラーもこの一種です。
バースプーン: バーテンダーがカクテルを作る際に使用する、柄が長く螺旋状に加工されたスプーンです。一端がフォーク状になっているものもあります。バースプーンが客に提供されることは通常ありませんが、日本ではマドラーとして認識されることもあります。
* Mexelote (Caralhinho): ポルトガル領マデイラ島で使用される木製の棒で、伝統的な飲み物であるポンチャを作る際に用いられます。

マドラーは、単に飲み物を混ぜるだけでなく、カクテルの味を調整し、視覚的な美しさを保つための道具として、重要な役割を果たしています。その素材や形状、用途は多様であり、カクテル文化を豊かにする要素の一つと言えるでしょう。

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