マラカス

マラカスについて

マラカス（maracas）は、体鳴楽器に分類され、特にラテン音楽においてよく使用されるシェイカーの一種です。一般的に「マラカス」と称されるこの楽器は、実際には「マラカ」の複数形にあたります。手に持てる程度の大きさの柄が付いた中空の球体に小さな玉が入っており、音を出すために振ることで簡単に演奏できるのが特徴です。

構造と奏法

マラカスは、通常2つの音階の異なる楽器を両手に持ち、特有の振動音を楽しむことができます。特に、マンボやサルサなどのスペイン語圏のラテン音楽で広く使われていますが、興味深いのはブラジルのサンバではほとんど使用されない点です。音を出す際には、以下の奏法が効果的です：

1. 楽器を軽く持つ。
2. 楽器の球の半径ほど急激に下げ、強く柄を握る。

このような振り方で「シャッ」という音を出すことが可能です。また、現代音楽においては、ティンパニやコンガといった膜質の打[[楽器]]をマラカスで打つ奏法も取り入れられています。

製造方法

マラカスは元々、ヤシ科のマラカの実を乾燥させて作られていましたが、現在では木製や革製、合成樹脂、金属製など、さまざまな素材で製作されています。素材によって音質が異なり、音楽のジャンルに応じて使い分けられます。特に合成樹脂製のマラカスは、耐久性が高く安価であるため、カラオケ店や音楽教育、音楽療法、さらには玩具としても多く利用されています。

各国での使用例

キューバ

キューバでは、中程度のサイズのマラカスが多くの音楽スタイルで用いられています。グァラチャ、ボレロ、ソン、ルンバなど、キューバ発祥の音楽においてマラカスが重要な役割を果たしています。その影響で、サルサ音楽でも使用されるようになりました。

ベネズエラ

一方、ベネズエラではタパラという植物の実を使用したマラカスが特に有名で、カパチョまたはエスプーマ・デ・サポと呼ばれる種が中に入っています。オリノコ川流域の先住民によって儀式の一環として使われていた歴史があり、その風習はスペイン人の到来以前から存在していました。当初は片手で演奏されていましたが、後に両手での演奏スタイルが確立されました。ベネズエラの草原地方ジャノで演奏される国民音楽ホローポでは、ハープや民族ギターとともに伴奏楽器としても重要です。

ベネズエラでは、特に1950年代からマラカスが独奏楽器としての地位を確立し、祭りやイベントで広く演奏されるようになりました。これに伴い、マラカス奏者は各地の奏法を取り入れ、独自のスタイルを発展させました。有名な奏者として、Santana TorrealbaやPedro Aquilino Díaz「Mandarina」などが知られています。また、マラカス製作の専門家も増加し、音質にこだわる職人による作品が登場しています。

日本では、Ernesto Layaから指導を受けた牧野翔がマラカスの演奏を広めており、数少ないマラカス奏者の一人として注目されています。

まとめ

マラカスは、ラテン音楽における重要な体鳴楽器です。その製造方法は多様であり、各国の文化に根付いた独自の奏法を持っています。演奏スタイルが変化し、時代と共に発展してきたマラカスの魅力を、ぜひ理解して楽しんでみてください。

もう一度検索