ミズメ

ミズメ（水芽・水目）

ミズメは学名を Betula grossa とする落葉高木であり、カバノキ科カバノキ属に分類されます。この樹木は、一般的にヨグソミネバリやアズサ（梓）とも呼ばれています。また、アズサの発音が訛ってハヅサやハンサとしても知られています。ミズメは、日本では本州の岩手県から九州にかけて広く分布しており、特に山地に生息しています。

特徴

ミズメの樹皮は暗灰色で、サクラの樹皮に似た外観が特徴的です。若い枝には短い枝が多数出現し、その姿が観察されることがあります。特筆すべきは、その枝を折った際に感じられる特有の香りで、これはサリチル酸メチルを豊富に含むことによるものです。花の開花時期は4月で、冬芽は卵形をしており、4枚の芽鱗に包まれています。また、これらの芽には樹脂が若干混じっています。枝先には仮頂芽があり、側芽は互生的に配置されています。特に、雄花序の冬芽は裸芽であり、枝の上部に数個の芽が見受けられます。葉痕は半円形で、そこには3つの維管束痕が観察できます。

なお、「梓」という漢字は、中国においては本来このミズメを指すものではなく、別の種類であるノウゼンカズラ科のキササゲを表しています。

用途

ミズメは、古くからさまざまな用途に用いられてきました。特に伝統的には湿布薬として利用され、その治癒効果から多くの人々に重宝されていました。また、この木材は弾力性に優れており、特に梓弓を製作する際には最適な材料として選ばれていました。さらに、サリチル酸メチル由来の芳香は、古来より魔除けや神聖な意味合いを持つものとしても用いられてきました。

脚注

その魅力的な特性と多様な用途から、ミズメは日本の文化や生活に密接に関わっています。これらの情報は、以下の参考文献から得られました：

鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽：四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、133頁。ISBN 978-4-416-61438-9。

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