ミモレット

ミモレットとは

ミモレット（Mimolette）は、フランス原産の特徴的なチーズで、特にその鮮やかなオレンジ色が目を引きます。このチーズは牛乳を原料としており、アナトー色素が添加されています。そのため、独特な色合いを持つこのセミハードまたはハードチーズは、約20cmの直径で、上下がつぶれたボール状の形状をしています。表面は独特なクレーター状の穴があり、パウダーのような粉を吹いているのが特徴です。

ダニの役割と熟成

ミモレットの特筆すべき点は、チーズダニという微小生物の存在です。このダニがミモレットの熟成に重要な役割を果たし、その活動によって表面の穴が形成されます。若いミモレットは弾力があり、サラダの具やサンドウィッチの具材として人気があります。一方、熟成が進むと「ヴィエイユ（Vieille）」と呼ばれる状態になり、硬さが増してきます。この状態のミモレットは、通常は切るのではなく「割る」といった方法で食べられます。

外皮の部分は一般的に風味が良くないため、食べる際には外皮を取り除き、オレンジ色の部分のみを楽しむのが一般的です。興味深いことに、チーズダニが住む部分を食べても人体に害を及ぼすことはありません。

熟成期間の魅力

ミモレットは熟成が進むにつれて、その風味が豊かになります。1年以上経過すると硬さが増し、特に18ヶ月以上熟成したものは「カラスミ」に似た風味を持つとされています。この熟成したチーズは、日本酒との相性が良いとも言われています。ただし、温度管理が不適切でダニが死滅してしまった場合や、外皮が取り除かれてしまった場合は、その後の熟成が停止してしまいます。このようなミモレットは、保存しても熟成期間としてはカウントされません。

歴史と起源

ミモレットの原産地はフランス北部のフランドル地方、特にノール＝パ・ド・カレー地域圏のリールです。しかし、製法がオランダのエダムチーズに似ているため、オランダ産であるとの説も存在します。ミモレットの起源は、17世紀にさかのぼります。財務総監であったジャン・バティスト・コルベールの重商主義政策により、イギリスやオランダからの製品に高関税が課された結果、エダムチーズが手に入らなくなり、その代替品としてミモレットが作られました。

現在の状況

近年の出来事としては、2005年8月6日に、日本の内閣総理大臣であった小泉純一郎が前総理の森喜朗にミモレットを振る舞った際、森がそのチーズを「干からびたチーズ」と称したことが話題となりました。また、2013年3月以降、アメリカの食品医薬品局が生きたチーズダニの存在を理由にミモレットの輸入を差し止めており、これに対して輸入業者や消費者は様々な抗議活動を行っています。

ミモレットは、その独特の風味と製法から、多くのチーズ愛好家に親しまれています。今後もその魅力をさらに広めていくことが期待されています。

もう一度検索