メセナ

メセナの概要

メセナとは、企業が主に財政的支援を通じて文化や芸術の活動を促進する仕組みです。この活動は資金提供だけでなく、人材や施設の提供といった経営資源を活用して行われます。企業が主催する各種イベントやコンサート、オペラ公演など広範囲にわたる活動が含まれています。この背景には、企業が与える環境への負荷と文化を支えるための人材の確保が存在し、文化活動を次世代に還元する必要性が強調されています。

公益社団法人企業メセナ協議会は、「メセナ」を「芸術文化振興による社会創造」と位置付け、地域の発展や次世代の人材育成といったさまざまな課題に取り組む事業を推進しています。

メセナの語源

「メセナ」という言葉はフランス語の「mécénat」に由来し、これは「文化の擁護」を意味しています。この語彙は、ローマ時代の初代皇帝アウグストゥスの顧問であったガイウス・マエケナスの名に由来しています。マエケナスは、困難な状況にある詩人たちの支援を行い、文化を育成する重要な役割を果たしました。

欧米におけるメセナの歴史

欧米では、メセナ活動は比較的早く登場しました。1967年に設立されたアメリカの企業芸術擁護委員会（BCA）や1976年のイギリス芸術助成協議会（ABSA）、1979年のフランス商工業メセナ推進協議会（ADMICAL）などがその活動の中心となっています。これらの団体は、地域でのイベントへの協賛を通じて、文化とアートの発展に貢献しています。

日本におけるメセナの発展

日本においては、1988年の日仏文化サミットをきっかけにメセナ活動が広まりました。1989年には大塚製薬が刊行した「まんがヘルシー文庫シリーズ」が企業メセナの第一号として認められました。その後のバブル崩壊を経て、メセナの形態は多様化し、企業名を表に出さない控えめな活動も見られます。しかし、企業メセナは着実に広がりを見せ、1990年には公益社団法人企業メセナ協議会が設立され、「メセナ」の概念が広まっていきました。

現在では、企業の芸術文化支援のみならず、教育、環境、福祉など広範な分野における社会貢献活動が含まれるようになっています。企業メセナ協議会は、2011年の法人格変更を機に「芸術文化振興による社会創造」とする明確な定義を定め、多様な事業展開を行っています。主な取り組みとして、メセナアワードや調査研究、社会貢献ファンドなどがあります。

具体的なメセナ活動

企業メセナは多様な形態を取りますが、その一環として「メセナアワード」などがあります。受賞活動は、企業が行っている具体的な文化支援の例として注目されます。また、1990年にはワンパーセントクラブが設立され、会員は経済的利益の1%を社会貢献に費やすことを目指しています。

結論

企業メセナは、文化や社会への貢献を通じて企業自身の存在意義をも高める重要な活動です。企業の社会的責任が重視される現代において、メセナ活動はますます重要な役割を果たすことでしょう。

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