メタネーション

メタネーション技術について

メタネーション（Methanation）は、水素（H2）と二酸化炭素（CO2）を用いて、都市ガスの主要成分であるメタン（CH4）を生成する技術です。このプロセスにより、再生可能エネルギーなどから得られた水素をメタンに変換することで、より扱いやすい燃料を生み出していきます。

歴史的背景

メタネーションの技術は、1984年にダコタガス化会社によって実用化されるまで、主に石炭から合成天然ガスを生成するプロセスを指していました。この技術の基礎となるCO2の水素化による合成メタン生成は、1911年にフランスの化学者ポール・サバティエによって発明されました。2010年代以降、このCO2を水素化する技術は、脱炭素や温室効果ガス排出抑制の観点から注目を集めています。

日本では1993年に東北大学の橋本功二名誉教授がグローバル二酸化炭素リサイクル構想を提唱し、1995年には橋本氏と日立造船が世界初の実証実験を行いました。一方、ヨーロッパでも2009年頃からメタネーションへの取り組みが活発になり、日本政府は2030年の合成メタン導入目標を設定しています。具体的には、合成メタンを4億m3、全体の1%にすることを目指しています。

技術の普及と実装

2019年6月、日本は「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」を閣議決定し、産業界や研究機関はメタネーションに関連する技術開発のリーダーシップを求められることになりました。大阪ガスや東京ガスを始めとする大手事業者は、メタネーション技術の導入や実用化に向けたビジョンを発表しました。特に、大阪ガスは2021年にSOEC共電解による革新的メタネーション技術の研究を始め、INPEXとともにCO2を回収し合成メタンを製造する実証実験を行う予定です。

東京ガスは、2021年11月に脱炭素化に向けたメタネーション技術を自社のコア技術として確立し、カーボンニュートラルに向けたバリューチェーンを構築しています。たとえば、横浜市でのCO2の融通を通じたメタネーションの実証実験においては、最新の技術を導入し、地域のカーボンニュートラルなエネルギー供給を試みています。

国際的な実証実験

ドイツのETOGASとアウディは、2013年以降、バイオガスから得たCO2を利用して合成したメタンを天然ガス自動車に供給する実証実験を行いました。またフランスのGRTgazも再生可能エネルギーを用いたメタネーションの実績を持っており、特に産業用の実証実験「Jupiter1000」を2018年に開始しました。日本でもNEDOがINPEXや日立造船と共同でメタネーションの試験設備を設置し、東京ガスもそのプロジェクトに参加しています。

技術的側面

メタネーションは発熱反応で、化学反応式は次のように表されます。

$$CO_2 + 4H_2 ↔ CH_4 + 2H_2O$$

この反応はエネルギーを放出し、従来のサバティエ反応と同様にニッケルやルテニウムなどの触媒が使われます。東京ガスでは、固体高分子膜を使った比較的低温下での反応技術や、生物学的メタン化にも取り組んでいます。

メリットと課題

メタネーションによって得られるメタンは、エネルギーの広範な応用が可能です。水素のみを利用するよりはコストが増加しますが、既存のガスインフラを利用でき、カーボンニュートラルの実現に貢献できる点が大きなメリットです。ただし、日本国内では合成メタンの排出量削減効果をどのように評価するかが課題となっており、CO2の再利用に関する国際的な基準とも関連しています。

メタネーション技術は、今後のエネルギー政策や環境施策において重要な役割を果たすことが期待されています。

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