モスラ

概要

『モスラ』は1961年に公開された東宝製作の怪獣映画で、日本初のカラーおよびワイドスクリーンによる特撮映画です。この映画は、東宝がゴジラやラドンに続いて開発した新たな怪獣キャラクター、モスラを紹介し、制作には約3年の構想と当時2億円という巨額の制作費、200日の撮影期間がかかりました。本作品は、従来の怪獣映画とは異なり、ファンタジー要素を強調した内容が特徴です。

モスラは善玉の存在として描かれ、物語の中で小美人という女性的な要素を持ったキャラクターが登場します。この作品には、フェミニズムや先住民問題といったテーマが含まれていることも特徴です。また、小美人の役には当時のアイドルデュオ「ザ・ピーナッツ」を起用し、独自の魅力を添えました。

本作は、特撮映画がよりファミリーフレンドリーな作品へと進化する重要な作品として位置づけられています。物語の結末ではモスラが敵を倒さず、代わりに大団円を迎える展開が描かれたことで、特撮映画のあり方に新しい風を吹き込みました。

公開当初には政治的メッセージも反映され、安保闘争の翌年であることから、米国との関係や日本の政治状況が描写されていました。具体的には、モスラが横田基地を通過する場面などが注目されています。また、公開時には特別料理「モスラランチ」が食堂に登場し、映画の話題をさらに広めました。

ストーリー

物語は、日本の貨物船「第二玄洋丸」が台風によって沈没するところから始まります。乗組員たちは、ロリシカ国の水爆実験で放射能に汚染されたインファント島に漂着し、通常とは異なり原線障害が見られずに救助されます。この不思議な状況を調査すべく、日東新聞の記者福田善一郎は、仲間のカメラマン花村ミチとともに病院に潜入。その結果、インファント島に原住民が存在することを知ります。

福田は、ロリシカ国代表のクラーク・ネルソンが様々な不審な行動を取る中、原住民たちによって守られている小美人と名付けられた双子の妖精の存在に触れます。彼らはネルソンによって捕らえられますが、福田たちは小美人を解放し、原住民の存在を知ることになります。物語が進むにつれ、ネルソンは小美人を使ったショーを開催し、さらなる混乱が巻き起こります。

ついに、伝説の守護神モスラが孵化し、巨大なイモムシとなって東京へ向かう事件が展開されます。防衛隊はモスラの出現によって混乱し、やがてモスラは都心を襲撃しますが、人々を守ろうとする福田は、モスラの暴走を止めようと奮闘します。結局、モスラは人間の敵であるネルソンを追い詰め、物語は彼と小美人の行方を巡る大団円へと繋がるのです。

特徴

本作の特徴は、モスラが善であるという点にあり、従来の怪獣映画とは一線を画しています。公開当時の社会問題への意識や、報道の自由、自衛の必要性などが織り交ぜられ、観る者にメッセージを投げかけます。また、本作で初めて登場したモスラは、以降の作品でも続くファンの人気を集め、多くの続編が製作されることとなりました。

本作品は東宝特撮の進化の一例で、特に映像美やキャラクターの魅力、ストーリー構成において革新的な試みがなされています。再評価され続けることにより、現在に至るまでその影響力は色あせていません。

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