モチモチの木

『モチモチの木』の世界

『モチモチの木』は、日本の絵本作家斎藤隆介による作品で、1971年に岩崎書店から発行されました。滝平二郎の美しいイラストが特徴的で、長年にわたり小学校の教科書に採用されるなど、多くの人々に親しまれています。2020年度には、すべての小学校3年生の教科書に掲載されていることからも、その人気の高さが伺えます。

あらすじの紹介

物語は、峠にある猟師小屋で祖父と一緒に暮らす少年、豆太が主人公です。豆太は臆病な性格で、夜になると祖父を起こさないと別棟のトイレに行くことすらできないほどです。特に自宅前に立つトチの木、通称「モチモチの木」を恐れていましたが、昼間はその木を怖がることはありませんでした。

ある夜、祖父が急に腹痛に悩まされ、救急の医者を呼びに行かねばなりません。しかし、医者の元は豆太が恐れるモチモチの木の先にある村まで約2キロの道のりです。不安を乗り越え、豆太は勇気を振り絞り医者を呼びに向かいます。暗闇の中、月明かりの下でモチモチの木が神秘的に輝く様子を目にし、祖父が語った「山の神の祭り」の意味に気づきます。豆太は祖父を救い、その後、祖父の励ましの言葉に勇気づけられますが、祖父が回復すると再び元の臆病な自分に戻ってしまう、というサイクルが描かれています。

内容の改訂

初版では三日月が描かれていましたが、数年後に小学校の教師からの批判を受け、1977年に改訂版が発行され、絵と文が二十日の月に変更されました。この修正は滝平にとって残念なものでしたが、初版の原画が残っていることは幸運だったと言えます。

書誌情報

本書の書誌情報は次の通りです。斎藤隆介、滝平二郎の共同作品『モチモチの木（創作絵本）』は1971年11月21日に岩崎書店から発売されました。ISBNは978-4-265909-06-3です。また、英語版も複数存在し、2021年には『The Booyoo Tree』が発行され、ISBNは9784265831029です。他にも『The Tree of Courage』などがリリースされています。

映像・声劇作品

本作は映像化や声劇化もされています。1972年には岡本忠成による声劇がリリースされ、1984年と1995年には日本コロムビアからオーケストラ絵本が発売されています。いずれも、作品の魅力を新たな形で届けています。

関連商品

2019年にはバンダイが滝平による挿絵を使用したTシャツを限定販売しましたが、人気のため2023年までに4回も再販されました。この商品は、より多くの人々に親しまれることを目的に、小学校の教科書で印象的な作品として選ばれたそうです。

主な購買層は30代から40代の男性ですが、女性の購入者も少なくないとのことです。SNSでの広がりが人気を後押ししていることも、注目すべき点です。

まとめ

『モチモチの木』は、勇気や優しさをテーマにした心温まる物語として、世代を超えて愛され続けています。この絵本は、ただの読み物にとどまらず、多くの人々の心の中で生き続ける存在です。

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