モンタナ級戦艦

モンタナ級戦艦の概要

モンタナ級戦艦は、アメリカ海軍が計画した最後の艦級であり、日本海軍の大和型に匹敵する排水量を持つ超弩級戦艦です。この艦級は1940年に5隻が建造されることが決まり、当時のアメリカの軍艦としては最大級の存在と位置づけられました。

計画の背景と進展

1930年代、世界はロンドン海軍軍縮条約の影響を受けていました。日本海軍が大きな戦艦を建造する意向を示す中、アメリカ海軍もこれに対抗する新型戦艦の必要性を感じ、計画の検討を開始しました。1940年、モンタナ級の建造が承認され、その名を冠するモンタナ艦（BB-67）を含め、5隻がニューヨークやフィラデルフィアといった造船所で建造される予定でした。

当初、モンタナ級戦艦は巨砲を搭載する「低速戦艦」として設計されました。主砲の搭載数や種類の見直しに伴い、防御力の強化も行われ、設計は進められましたが、1941年12月に太平洋戦争が勃発し、戦局に影響される形で計画が中止されてしまいます。戦争の進展により艦船戦略が変更され、航空母艦や輸送船といった他の艦種が優先されることになります。

目指された性能

モンタナ級の設計では、排水量は基準で63,221英トン、満載で70,965英トンとされ、建造されていればアメリカ海軍最大の艦艇となる予定でした。主砲には50口径40.64cm（16インチ）3連装砲を4基、両用砲として新型の54口径12.7cm（5インチ）連装砲が10基搭載される計画でした。これにより、艦の攻撃力や防御力を高めることを目指していました。

さらに、艦は防御面でも強化され、装甲は当時の日本の戦艦の攻撃に耐えられるように設計されていました。これにより、アメリカ海軍の戦力を強化し、日本海軍の大和型に対抗できる艦艇として位置づけられる予定でした。

計画の中止とその影響

1942年、アメリカ海軍の戦術が航空機主体へとシフトし、艦船の役割が変わる中、モンタナ級の建造計画は次第に後回しにされていきました。ルーズベルト大統領の命令により、最終的に1943年にモンタナ級は建造計画から外れることになります。その結果、モンタナ級は未起工のまま終わりました。

戦後の評価

モンタナ級戦艦は、アメリカ合衆国において主力艦名が付けられなかった唯一の州名となり、その計画のキャンセルは、多くの海軍ファンに惜しまれるものでした。戦時中、日本でもこの艦級の報道が見られ、アメリカ海軍の戦力増強への脅威として認識されていました。結局、モンタナ級は計画として存在したものの、実在することはありませんでしたが、その設計哲学や戦艦の進化における影響は今日においても語り継がれています。

結論

モンタナ級戦艦は、歴史の中で実現しなかったが故に、その存在は脆弱さも感じさせますが、同時に当時の海軍の動向や戦艦の設計における挑戦を象徴するものでもあります。未だに多くの興味を引くこの艦級は、アメリカ海軍の歴史の中で重要な意味を持ち続けています。

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