リオ・デ・オロ

リオ・デ・オロ：黄金の川が刻む歴史

リオ・デ・オロ（Río de Oro、「黄金の川」の意）は、かつてサギア・エル・ハムラとともに、スペイン領サハラを構成した二つの地域の一つでした。現在の西サハラの南部、北緯26度から21度の間に位置し、その面積は184,000平方キロメートルに及び、西サハラ全体の約3分の2を占めていました。

名前の由来

「黄金の川」という名称は、かつてこの地域を東西に流れていたとされる川に由来します。しかし、その川は涸れワジとなり、地中に消えてしまったと考えられています。リオ・デ・オロの州都は、かつてスペイン人植民者の名にちなんでVilla Cisnerosと呼ばれていましたが、モロッコによる行政下でダフラと改称されました。

歴史

この地域が「黄金の川」と呼ばれるようになったのは15世紀のことです。12世紀には、イタリアやスペインの商人が北アフリカとの交易を通じて金を手に入れており、彼らは西アフリカ奥地（ギニア）で採れる金を求めて大西洋に注ぐ川を目指しました。この動きが、やがてアフリカを南下する大航海時代の幕開けにつながりました。

1975年、スペインが西サハラから撤退すると、その領有権を巡ってポリサリオ戦線との激しい争いが起こりました。マドリード協定により、西サハラはモーリタニアとモロッコに分割統治されることになります。分割線はリオ・デ・オロの真ん中を走り、モロッコはサギア・エル・ハムラと北部を、モーリタニアはティリス・アル・ガルビーヤと呼ばれるリオ・デ・オロの南部を併合しました。このティリス・アル・ガルビーヤの州都が、すでにダフラと呼ばれていたのです。

しかし、モーリタニアは4年間のポリサリオ戦線との戦いの後、ティリス・アル・ガルビーヤを放棄し、西サハラから撤退しました。その後、モロッコとポリサリオ戦線の間で紛争が再発し、現在も解決に至っていません。1991年からは停戦が発効していますが、この地域は今日、モロッコの砂の壁によって東西に分断されています。ポリサリオ戦線は、東側にサハラ・アラブ民主共和国として支配する「自由地域」を保持しており、これらの地域を巡って、国際連合西サハラ住民投票ミッション（MINURSO）による交渉が続けられています。

リオ・デ・オロは、その名が示す「黄金」の輝きとは裏腹に、紛争と分断の歴史を背負った地域なのです。

もう一度検索