リンダキューブ

リンダキューブ：時間との闘い、そして運命の選択

1995年、NECホームエレクトロニクスよりPCエンジンSUPER CD-ROM²用ソフトとして発売された『リンダキューブ』(Linda³)。公式サイトでは「サイコスリラー＋ハンティングRPG」と銘打たれ、時間制限のある独特のロールプレイングゲームとして人気を博しました。プレイヤーは主人公ケンとなり、巨大隕石衝突の危機に瀕する惑星ネオ・ケニアからの脱出を目指します。しかし、脱出は容易ではありません。8年という限られた時間内に、惑星各地を巡り、様々な目的を達成する必要があるのです。

ゲームシステム：生き物たちの収集と箱舟計画

本作は「時間制限つき、動く宝捜しゲーム」と表現できます。プレイヤーは、現実とは異なる120種類もの動物（モンスター）を収集することが目的です。戦闘で動物を捕獲しますが、強すぎる攻撃で体がバラバラになってしまうと捕獲できません。強さのバランスを考慮した戦略が求められます。さらに、全ての動物にはオスとメスが存在し、つがいでの捕獲が必須です。

捕獲した動物は箱舟に登録することで、ケンとリンダのパラメータが上昇し、特殊能力が解放されることもあります。時間経過とともに季節が変化し、地形や動物の分布も変化するため、プレイヤーは常に変化に適応する必要があります。パーティメンバーはケンとリンダが固定で、残りは猟犬です。ヒロインのリンダはシナリオによって離脱することもあります。

世界観とストーリー：絶望と希望の狭間で

『リンダキューブ』は、一般的なRPGとは大きく異なる特徴を持っています。桝田省治氏（ゲームデザイン）によると、主人公は勇者ではなく、魔王などの明確な敵も存在せず、惑星の滅亡を阻止することもできないとのこと。この設定は、氏が過去作で「王道RPG」を制作した経験から生まれたアンチテーゼと言えるでしょう。

ゲームシステムも革新的です。8年のゲーム時間はリアルタイムで進行し、時間経過とともに住民の脱出が進みます。アイテムは店で買うだけでなく、動物を加工して作成することも可能です。ゲーム開始時点から広大なマップを自由に探索でき、レベルの高い敵にも遭遇します。アイテムの腐敗や、街以外での移動時の体力減少など、リアリティあふれる要素も盛り込まれています。

3つのシナリオ（PS版、SS版では4つ）があり、それぞれ異なるストーリー展開が楽しめます。特にA、Bシナリオは猟奇的な描写が含まれており、PCエンジン版は18歳以上推奨となっています。シナリオAとBはストーリーに沿って進行しますが、シナリオCは動物集めに重点が置かれ、高い自由度を誇ります。シナリオDはタイムトライアルモードとなっています。

各シナリオの概要

シナリオA「MERRY XMAS」: ケンの弟・ネクがキーパーソンとなり、猟奇的な殺人事件が展開します。動物捕獲数は30種類。
シナリオB「HAPPY CHILD」: エモリ博士と娘のサチコを中心に、悲劇的な事件が描かれます。動物捕獲数は50種類。
シナリオC「ASTRO ARK」: 動物集めがメインで、高い自由度を誇ります。120種類全ての動物の捕獲が可能で、動物捕獲数は100種類。
シナリオD「LAST YEAR」: タイムトライアルモード。動物捕獲数は100種類。

登場人物：個性豊かなキャラクターたち

主人公ケン、ヒロインリンダを始め、個性豊かなキャラクターたちが物語を彩ります。各キャラクターの設定や役割はシナリオによって異なり、複雑な人間関係や事件が展開されます。

移植版

PlayStation版『リンダキューブ アゲイン』、セガサターン版『リンダキューブ 完全版』が発売され、グラフィックの向上やシナリオの追加などが行われています。

まとめ：忘れられない衝撃と独特のゲーム性

『リンダキューブ』は、独特の世界観、革新的なゲームシステム、衝撃的なストーリー展開で、多くのゲーマーに強い印象を与えた作品です。時間制限や動物収集という斬新なゲーム性、そして予想外の展開が待ち受ける、忘れられない体験となるでしょう。

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