ルクオイル

ルクオイル：ロシアを代表する石油企業の興亡と近年の動向

ルクオイルは、ロシア連邦最大の石油会社として知られています。その歴史は、ソビエト連邦崩壊直前の1991年にまで遡ります。当時、ランゲパスネフテガス、ウライネフテガス、コガリムネフテガスの3つの石油採掘企業が統合され、「ランゲパス・ウライ・コガリムネフト」という国家コンツェルンとして誕生しました。その後、1993年には正式に公開株式会社「ルクオイル」として設立され、ロシア国内での事業を拡大していきます。

ルクオイルの成長には、西シベリアにおける豊富な油田資源の活用が大きく貢献しました。ハンティ・マンシ自治管区・ユグラを中心とした3拠点に加え、バシコルトスタン、ボルゴグラード、ペルミなどの精油所や石油化学工場も所有し、事業基盤を強化しました。さらに、アストラハン油田などの獲得により、その規模は拡大の一途を辿ります。

国際的な展開も積極的に進め、アメリカのアトランチック・リッチフィールド社（ARCO）を戦略パートナーとして迎え入れました。1999年時点では、ARCOがルクオイル株式の7.7パーセントを保有していました。2000年にはアメリカのゲティ・オイルを買収し、「LUKOIL」ブランドのガソリンスタンドをアメリカ国内で展開するなど、グローバルな企業へと成長を遂げました。

2004年には、コノコ・フィリップスと提携し、ロシア北部ティマン・ペチョラ地区やイラク西部のクルナ地区での油田・ガス田の共同開発に合意しました。この協定は、ルクオイルの国際的な事業拡大に更なる弾みをつけました。2014年には、法改正に伴い、公開株式会社から公共株式会社（ПАО）に移行しました。

しかし、近年、ルクオイルは大きな変化の渦中にあります。2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、企業の運命に大きな影を落としました。創立者であるヴァギト・アレクペロフはイギリスから制裁対象となり、社長を辞任。さらに、同年、取締役会は軍事侵攻を懸念する声明を発表しました。

その後、元幹部の不審死や、ラビル・マガノフ会長の転落死、ウラジーミル・ネクラソフ会長の急死、ヴィタリー・ロベルトゥス副社長の急死など、経営陣に立て続けに異変が発生。これらの出来事は、ルクオイルの将来に大きな不確実性をもたらしました。また、石油トレーディング部門の分離やイタリア・シチリアにある製油所の売却も検討されているとされ、企業の構造改革も進められています。

ルクオイルは、ロシアのエネルギー政策、そして国際情勢の変化に翻弄されながら、その存続と発展を模索し続けています。今後の動向が注目されます。

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