ルネサスエレクトロニクス

ルネサスエレクトロニクス株式会社

ルネサスエレクトロニクス株式会社（Renesas Electronics Corporation）は、東京都江東区に本社を構える日本の半導体メーカーです。2010年に三菱電機と日立製作所から分社化されたルネサス テクノロジーとNECエレクトロニクスの経営統合によって設立されました。同社の名称「Renesas」は、「先進的なソリューションのための再生半導体」を意味し、あらゆるシステムに組み込まれる半導体の可能性を追求する企業として位置付けられています。

概要

ライフスタイルに欠かせない電子機器を支えるルネサスは、マイクロコントローラー（MCU）、アナログ、パワー、システムオンチップ（SoC）など、さまざまな製品ラインを展開しています。自動車や産業機器、IoT（Internet of Things）分野に焦点を当て、ルネサスの製品は多くの人々の生活に貢献しています。企業の目的は「私たちの生活を楽にする」とし、すべてのステークホルダーに持続可能な社会を実現するための半導体ソリューションを提供することを掲げています。

ルネサスは、全従業員の行動指針として「Renesas Culture」を採用し、企業の成長を支えています。このカルチャーは、透明性、機敏さ、国際性、革新性、起業家精神を大切にし、グローバルな組織作りを推進しています。現在、同社は日本、中国、東南アジア、米国に12の生産拠点を有し、日本国内でも高い技術力を誇る工場が存在しています。

生産と技術

特に那珂工場では、最先端の40nmプロセスによるLSI（大規模集積回路）製造が行われており、アナログおよびロジック半導体の分野で強みを発揮しています。ただし、28nmプロセス以降の半導体製品は、台湾のTSMCなど外部ファウンドリに生産を委託しています。この選択は、必要最小限の製造能力の維持という方針から来ており、ウォールストリートジャーナル社との経済的観点からも、戦略的に重要な判断とされています。

2021年には、ルネサスは世界の半導体企業の売上高ランキングで15位を記録し、日本国内ではトップの地位を保持しています。車載半導体市場では、NXPセミコンダクターズやインフィニオン・テクノロジーズに次ぐ3位に位置し、特に車載マイコンでは圧倒的なシェアを占めています。また、汎用マイコン分野でも高い競争力を維持し、グローバルな市場での存在感を示しています。

グローバル戦略と車載事業

ルネサスは近年、成長戦略としてグローバル化を進めており、特に車載専業メーカーからの脱却を図っています。2010年代半ば以降は、業績の回復を果たし、特にアナログ半導体製品の強化や不特定顧客への依存度を減らす戦略をとっています。インターシル、IDT、ダイアログセミコンダクターなどの海外メーカーを買収し、産業・インフラ・IoT分野の製品開発を進めています。

自動車業界との関係は非常に深く、特にトヨタ自動車とその一次下請け企業であるデンソーとの関係が強固です。ルネサスの半導体がなければ、自動車の生産は成り立たないという現実もあり、リスク管理にも影響を与える関係性です。しかし、国際的な半導体不足の影響を受け、トヨタが強い要望を示す場面も増えています。

経営変革と未来への展望

ルネサスは経営の安定を求める過程で、産業革新機構の傘下に入ることとなるなど、さまざまな変革を経ています。抜本的な構造改革を断行し、2014年には初めて黒字化を実現しました。その後も製品やサービスの革新を追求し続け、2021年には過去最高の業績を達成しました。

現在ルネサスは、未来の電動、自動運転車に向けても挑戦を続けており、信号器（センサー）や電源管理、デジタルエレクトロニクス分野での技術革新を進めています。2023年には産業革新機構の保有株式が全て売却され、今後のさらなる成長を目指しています。ルネサスがこれからも半導体業界のリーダーとして活躍し続けることが期待されています。

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